休眠顧客の掘り起こしメール例文12本 場面別の書き分けと送信後の手順

休眠顧客へのメールは、書き出しで手が止まります。連絡が途切れてから時間が経つほど、「いまさら何と書けばいいのか」が分からなくなるからです。

この記事では、場面別の例文を12本、そのまま使える形で載せています。あわせて、件名のつくり方、送る相手の並べ替え方、送ったあとに何をするかまで置きました。

もし「久しぶりの相手に、どう切り出すか」で止まっているなら、最後まで読んでいただく価値があると思います。読み終えたときには、明日どのリストに何を送るかが決まります。

目次
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休眠顧客の掘り起こしメールとは何を送るものか

休眠顧客の掘り起こしメールとは、一度は接点があったのに、いまは商談も取引も動いていない相手へ、関係を再開させるために送るメールです。

1通目のゴールは受注ではありません。返事をもらうこと、それだけです。ここを間違えると、久しぶりの1通目にサービス紹介と価格表を詰め込むことになります。

新規開拓のメールとは前提が3つ違う

  • 相手はこちらを知っている。何をしている会社かを説明し直す必要がありません
  • 過去の記録が残っている。いつ、何を話し、どこで止まったかが分かります
  • 断られた理由がある。それがいまも生きているかが、書き分けの分かれ目です

新規開拓が「知ってもらう」から始まるのに対して、休眠顧客の掘り起こしは「思い出してもらう」から始まります

休眠顧客が生まれる7つの理由と書き分けの軸

休眠顧客をひとまとめのリストとして扱うと、文面は必ず薄くなります。理由が違えば、1通目で触れるべきことが変わるからです。

休眠の理由 相手の内心 1通目で触れること
忘れられている 悪い印象はない。ただ思い出せない いつ何を話したか。事実だけ短く
他社に決まった もう決めた話を蒸し返されたくない 他社の選択を肯定する。乗り換えを迫らない
予算が合わなかった 金額の話に戻るのが気まずい 金額以外で変わったこと
社内の優先度が下がった 自分が止めたと思われたくない いま再検討する理由になる外の変化
担当者が異動・退職した そもそも経緯を知らない 誰と何を話していたかの引き継ぎ
対応に不満があった また同じことが起きるのでは 何が変わったか。言い訳をしない
こちらから引いた 断られた側だと感じている 当時の判断の理由と、いまの状況

この7つのうち、手元の記録から判別できるのはだいたい4つか5つです。分からないものは「忘れられている」として扱います。

休眠顧客の掘り起こしメールを書く前に決める3つのこと

1 何か月からを休眠と呼ぶか

自社の検討期間の2倍を目安にすると、線が引けます。検討に3か月かかるサービスなら、最後の接点から6か月で休眠です。

2 1通で何をしてほしいか

1通に依頼はひとつだけにします。返信か、資料の閲覧か、日程の提示か。3つ並べると、相手は3つとも選べなくなります。

3 誰の名前で送るか

当時の担当者が在籍しているなら、その人の名前で送るほうが開かれます。名前に見覚えがあるかどうかは、件名の工夫より効きます。

休眠顧客の掘り起こしメール例文12本を場面別に

会社名と担当者名、それに【 】の中だけ差し替えれば使える形にしています。共通しているのは本文が短いことです。久しぶりの1通目は、読むのに30秒かからない長さに収めます。

例文1 一年以上連絡が途絶えた相手へ

件名:ご無沙汰しております(株式会社◯◯ ◯◯)

本文:株式会社◯◯の◯◯です。【昨年3月】に【資料をお送りした】きりになってしまい、失礼しました。
その後、御社の【業界】向けに【変わった点を1行】がありましたので、ご連絡しました。
状況をうかがう趣旨ではありませんので、ご返信は不要です。

例文2 他社に決まって失注した相手へ

件名:【他社サービス名】の運用はいかがでしょうか

本文:【昨年◯月】にご検討いただいた株式会社◯◯の◯◯です。そのときは【他社名】でお決めになったとうかがっていました。
乗り換えのご提案ではありません。【同じ製品でよく出てくるつまずき】をまとめた資料がありますので、必要でしたら「ください」とだけご返信ください。

例文3 予算が合わずに止まった相手へ

件名:当時ご相談いただいた件で、条件が変わりました

本文:【昨年◯月】にご相談いただいた株式会社◯◯の◯◯です。当時は費用のところで折り合わず、こちらの力不足でした。
その後【最小構成のプランができた】ため、当時のご要件だと【変わった点を1行】になります。
金額だけ先にお知りになりたい場合は、ご返信ください。

例文4 検討が自然消滅した相手へ

件名:あのときの【検討していた課題】は、いまどうされていますか

本文:【昨年◯月】に【課題】についてお話しした株式会社◯◯の◯◯です。
あのとき論点になっていた【具体的な論点】について、その後【新しく分かったこと】がありました。
いま社内でその話が動いているかどうかだけ、一言お聞かせいただけますか。

例文5 先方の担当者が変わったとき

件名:前任の【前任者名】様とお話ししていた件のご連絡

本文:はじめてご連絡いたします。株式会社◯◯の◯◯と申します。
【昨年◯月】まで、御社の【前任者名】様と【テーマ】についてお話をさせていただいておりました。当時の資料と経緯を保管しておりますので、必要でしたらそのままお送りします。
すでに別の進め方をされている場合は、その旨をお知らせください。

例文6 こちらの担当者が変わったとき

件名:担当が交代しましたのでご挨拶です(株式会社◯◯)

本文:株式会社◯◯の◯◯と申します。これまで【前任者名】が担当しておりました件を、【今月】から引き継ぎました。
引き継ぎの際に、【当時の論点】でお待たせしてしまったと聞いております。
あらためてご提案をする前に、いまの状況だけうかがえればと思っています。

例文7 過去に取引があり、いまは止まっている相手へ

件名:【前回の取引名】のその後について

本文:【一昨年】に【取引内容】でお世話になった株式会社◯◯の◯◯です。
その後、【当時納品したもの】は問題なくお使いいただけていますでしょうか。ご不便が出ていましたら、費用をいただかずに確認だけいたします。
あわせて、当時はご案内していなかった【新しい範囲】も扱えるようになりました。

例文8 こちらから提案を引いた相手へ

件名:当時は力になれず失礼しました(株式会社◯◯ ◯◯)

本文:【昨年◯月】にご相談いただいた株式会社◯◯の◯◯です。
あのときは【対応できなかった理由を1行】のため、こちらからお断りする形になってしまいました。
その後【体制が変わった】ため、当時のご要望にお応えできるようになりました。すでに解決済みでしたら読み流してください。

例文9 導入したあとに使われなくなった相手へ

件名:【サービス名】、その後お使いになれていますか

本文:【サービス名】を担当しております株式会社◯◯の◯◯です。
直近のご利用状況を拝見したところ、【機能名】のあたりで止まっているように見えました。ここは最初の設定でつまずく方が多い箇所です。
よろしければ、こちらで設定だけ整えます。追加の費用はかかりません。

例文10 相手側の変化をきっかけにする

件名:【リリース内容】を拝見しました

本文:株式会社◯◯の◯◯です。【昨年】に一度お話をさせていただいておりました。
先日、御社の【新サービス/組織変更】のお知らせを拝見しました。
【その変化にともなって出てくる課題】について、似た規模の会社で扱った例がいくつかあります。ご興味があれば概要をお送りします。

例文11 自社側の変化を伝える

件名:当時できなかった【要望】に対応しました

本文:【昨年◯月】にご検討いただいた株式会社◯◯の◯◯です。
そのとき「【当時できなかったこと】ができれば」とおっしゃっていたのが、宿題として残っていました。【今月】から対応できるようになりましたので、そのご報告です。
ご返信は不要です。

例文12 これで最後にすると伝える

件名:ご連絡はこれで最後にします(株式会社◯◯)

本文:株式会社◯◯の◯◯です。何度かご連絡を差し上げましたが、お返事をいただけていないため、こちらからのご案内は今回で最後にします。
状況が変わったときにこのメールへご返信いただければ、いつでも対応します。

この12本目は、いちばん返信が来やすい1通です。相手に「このまま終わってよいか」を判断させる形になるためです。ただし本当に最後にしてください。

休眠顧客の掘り起こしメールの件名は3つの型でつくる

件名を凝る必要はありません。休眠顧客の場合、差出人名で開くかどうかがほぼ決まります。件名の役割は、開いた人に「あの件か」と思い出させることです。

考え方 件名の例
思い出させる型 過去の接点を件名に出す ご無沙汰しております(株式会社◯◯ ◯◯)/前任の◯◯様とお話ししていた件
相手の変化型 相手側で起きたことを起点にする 【リリース内容】を拝見しました/御社と近い規模の会社の例です
用件だけ型 1通の用件を件名で言い切る 当時できなかった【要望】に対応しました/ご連絡はこれで最後にします

件名でやらないほうがいいこと

  • 「その後いかがでしょうか」だけ。用件がなく、3回続くと開かれなくなります
  • 「重要」「至急」。重要かどうかをこちらが決めていることになります
  • 長い件名。スマートフォンの一覧では前半しか出ません

休眠顧客のリストを送る順番に並べ替える

リストを上から順に送ると、反応が出やすい相手が最後に回ります。送る前に並べ替えます。

優先順位をつける4つの物差し

  1. 最後の接点の新しさ。半年前に止まった商談は、3年前の名刺より近い位置にあります
  2. 断られた理由が解けているか。価格と機能は解けます。他社で運用が回っているなら、しばらく解けません
  3. 相手側に変化があったか変化は連絡する口実になります
  4. 渡せる新しい材料があるか。前回と同じものしか渡せないなら、順番は後ろです

1回に送る数を絞る

リスト全体に一斉配信すると、返信が来たときに手が回りません。返信は送ってから2日以内に集中します。対応できる数から逆算して決めてください。

休眠顧客の掘り起こしメールを送ったあとのフォロー手順

ここが、掘り起こしでいちばん抜けやすいところです。1通目を送った時点で仕事が終わったことになり、リストがまた休眠に戻ります。

送信当日 送った記録を残す

誰に、どの例文を、いつ送ったか。この3つを1行で残します。記録がないと、3か月後に同じ文面をもう一度送ることになります

3営業日後 返信がない相手を分ける

ここで追撃はしません。返信なしのグループを作るだけです。1通目から3日で2通目を送ると、催促に見えます。

2週間後 別の材料で1通だけ

同じ内容を送り直しません。事例、他社での運用のつまずき、制度の変更など、相手が読んで得をするものを1つだけ渡します。

1か月後 返信不要の情報提供

「ご検討の状況をうかがう趣旨ではありません」と明記した1通を送ります。返信を求めないメールは、断りにくさを相手から取り除きます。

3か月後 締める1通を送る

例文12の「これで最後にします」を送ります。返信が来なければ、そのリストはいったん閉じます。閉じることも運用のうちです

間隔と回数の考え方は、資料請求後のフォローとほぼ同じ設計です。段階ごとの目安は資料請求後のフォロー手順7段階にまとめていますので、自社の型をつくるときの下敷きにしてください。

休眠顧客から返信が来たときの3つの分岐

返信が来たあとの対応で、結果は変わります。分岐は3つです。

前向きな返信 その日のうちに次を決める

「話を聞きたい」に対して、資料を送って終わりにしません。その返信の中で、日程の候補を3つ出します。久しぶりに動いた関係は、1日空くと元に戻ります。

断りの返信 理由と時期を記録する

「いまは必要ない」は「今後も不要」ではありません。断られた理由と、次に検討しそうな時期を記録します。この記録が、半年後のリストの母数になります。

返信なし 反応の有無で分ける

返信がない相手も、全員が同じではありません。メールを開いた相手、資料のリンクを押した相手、まったく動きがない相手。この3つは別のグループとして扱います

リンクを押した相手は、返信がなくても関心があります。次の1通は、その人だけに手で書きます。

休眠顧客の掘り起こしメールと特定電子メール法の注意点

掘り起こしメールの内容によっては、法律の枠がかかります。

広告や宣伝を含むメールは原則として規制の対象

総務省は、広告・宣伝メールを送信する場合、そのメールは原則として特定電子メール法の規制対象になると案内しています。同意の取り方、送信者情報の表示、受信拒否の連絡先の記載などの実務上のポイントは、同省の迷惑メール対策のページと特定電子メールの送信等に関するガイドラインで公開されています。

休眠顧客は過去に取引や名刺交換のある相手であることが多く、新規のリストとは扱いが異なります。自社がどの条件へあてはまるかは、ガイドラインの原文で確認してください

1通目に入れておくと安全な3点

  • 送信者の名称と住所。署名に入っていれば足ります
  • 受信拒否の連絡先。メールアドレスかURLを本文の末尾に置きます
  • いつどこで接点があったか。法律の要件ではありませんが、相手の不信感を消します

休眠顧客の掘り起こしメールに関するよくある質問

何年前まで送ってよいですか

年数より、担当者が在籍しているかどうかで決まります。3年前でも同じ方がいれば話は通じますし、1年前でも交代していれば例文5の形になります。

一斉配信と個別送信のどちらがよいですか

件数が多いなら一斉配信で構いません。ただし例文2、5、8、9は個別に書いてください。過去の経緯に踏み込むので、宛名だけ差し替えた形だと違和感が出ます。

何通まで送ってよいですか

この記事の手順では、3か月で4通です。短い間隔でそれ以上送ると、受信拒否の設定をされます。回数ではなく、1通ごとに違うものを渡せているかで判断してください

休眠顧客の掘り起こしメールが効いたかどうかを確かめる方法

最後に残る問いは、これだと思います。

送ったメールが効いたかどうかを、どうやって確かめるか。

開封率とクリック率は数字として出ます。ただしその数字が教えてくれるのは、相手がメールを開いたことまでです。開いた人が何を考えたかは、そこには出てきません。

分かるのは、相手が何に反応したかだけ

確かめる方法はひとつしかありません。相手が何に反応したかを見ることです。見られるものは3つあります。

  1. 返信の中身。断りの文面に理由が書かれていれば、それは次の1通の材料です
  2. 渡した資料のどこを見たか。価格のページで止まったのか、事例を何度も戻って読んだのか
  3. 次に何を聞いてきたか。質問の内容は、相手が引っかかっている場所そのものです

このうち1と3は、返信が来た相手からしか手に入りません。返信が来なかった相手から唯一取れるのが、2つ目です

資料の渡し方を変えると、後から見えるものが増える

PDFを添付して送ると、送った瞬間に手がかりが切れます。相手のパソコンに保存された時点で、こちらからは何も見えません。

資料をURLで渡しておくと、そのあとに何が起きたかが残ります。営業資料をURLで共有する6つの方法では、渡し方ごとに何が見えて何が見えないかを比較しています。掘り起こしメールに資料を添える前に、渡し方のほうを先に決めてください。

反応が見えたあとにどう動くかは、送りっぱなしを商談に変えるフォローの型と同じ考え方でつくれます。

効いたかどうかは、1通では決まらない

休眠顧客の掘り起こしで、1通目から返信が来ることはあまりありません。

効いたかどうかは、3か月分の4通を送り終えたときに、リストがどう分かれたかで判断します。返信が来た相手、反応はあったが返信がない相手、まったく動かない相手。この3つに分けられていれば、その掘り起こしは成功しています。

次の3か月は、真ん中のグループだけに時間を使えばよくなるからです。

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