ライフラインチャートは、過去の出来事と当時の主観的な充実感を1本の線で振り返る方法です。
社会人が書くときは、期間を決め、出来事と充実感の高低を置き、点を時間順に結び、当時の条件を比べて次に確かめることを1つ選びます。
この記事では、自分で書ける準備と6つの手順、空欄テンプレート、架空の記入例を紹介します。
グラフだけで適職や強みを決めず、仕事の次の選択に向けて何を確かめるかまで整理します。

ライフラインチャートとは

ライフラインチャートは、横軸に時間、縦軸に自分の主観による満足度や充実感を取り、経験の変化を曲線で表す振り返りの方法です。
出来事を時系列で並べるだけでなく、そのとき自分がどう感じていたかを同じ紙の上で見渡せます。
厚生労働省の2017年度事業で公開された資料には、働き始めてから現在までのキャリアに関する満足度を曲線にするワークが掲載されています。
時期と満足度が交わる位置に経験の点を置き、名称を書き、点を曲線で結んで気づきをメモする形式です。
公式の内容を確認したい場合は、厚生労働省の公開資料とキャリアコンサルティング技法の案内を参照できます。
この記事で紹介するのは、その考え方を参考に、1人で経験を整理するための株式会社Rin独自の簡易ワークです。
公式資料を使って取り組む場合は、案内ページにある手引きも合わせて確認してください。
会社員が入社、異動、役割変更などを振り返ると、充実感が動いた時期と周囲の条件を比べやすくなります。
そこから価値観、行動の原動力、働きやすい条件に気づくことはありますが、グラフだけでそれらが確定するわけではありません。
見つかったことは、今後の仕事で確かめる仮説として扱います。
ライフラインチャートで整理できる経験と条件

ライフラインチャートには、仕事と生活の両方を、自分が書きたい範囲で置けます。
仕事では入社、異動、担当変更、昇進、プロジェクトの開始や終了、学び直しなどが候補です。
生活の変化が働き方に影響したと感じる場合は、引っ越しや家族との過ごし方なども含められます。
大切なのは、起伏を出来事の名前だけで説明しないことです。
たとえば、異動後に線が下がっていても、異動そのものが理由とは限りません。
担当範囲が曖昧だった、仕事量が増えた、相談相手が変わった、生活との両立が難しくなったなど、複数の条件が重なっている可能性があります。
反対に、線が上がった時期から「この仕事が天職だ」「このとき発揮したものが強みだ」と自動的に結論づけることもできません。
成果が出た、周囲から評価されたという事実と、自分が充実していたという主観は一致しない場合があります。
成果は高かったのに負担も大きかった時期や、目立つ成果はなくても納得して働けた時期もあり得ます。
縦軸に数字を使う場合も、その値は能力、幸福度、性格を客観的に測る点数ではありません。
同じ出来事でも、当時と現在では受け止め方が変わることがあります。
高い点が正解で、低い点が失敗という意味でもありません。
1本の線は結論ではなく、詳しく振り返る場所を見つける目印です。
同じくらいの高さにある点を比べて、仕事内容、任され方、人との関わり方、仕事量、裁量、生活との両立を分けて考えると、次に確かめる条件が見えやすくなります。
ライフラインチャートを書く前の準備

書く道具を選ぶ
紙とペンがあれば始められます。
消したり書き足したりしたい人はノートや付箋を使っても構いません。
パソコンで整理したい場合は、表計算やスライドに時期と出来事を入力し、後から線を加える方法もあります。
専用ツールへの登録は前提ではありません。
この記事の空欄表は、株式会社Rinがこの簡易ワーク用に作ったテンプレートです。
そのままコピーするか、紙に列名を書き写して使えます。
振り返る範囲を決める
入社から現在まで、今の会社に入ってから、直近の数年間など、今回見たい期間を決めます。
長い期間を1度に扱いにくければ、今抱えている迷いに関係しそうな範囲から始めます。
何歳から始めるかに、この記事で示せる標準はありません。
学生時代まで戻らなくても、働き始めてからの経験だけで書けます。
書く範囲と共有範囲を分ける
自分だけで見る内容と、誰かに見せてもよい内容を先に分けておくと安心です。
仕事用の端末や共有ファイルに保存する場合は、個人的な出来事をどこまで残すかも考えます。
苦しかった経験を無理に掘り起こす必要はありません。
思い出しにくい期間や書きたくない出来事は空欄にし、後から必要だと感じたときだけ足せます。
ライフラインチャートの書き方6ステップ

1 振り返る期間を横軸に置く
最初に、決めた期間を紙や画面の横方向に置きます。
年月が分かる場合は年や月を書き、曖昧な場合は「入社直後」「最初の異動後」「新しい役割を持ったころ」のような区切りでも構いません。
正確な日付を思い出すことが目的ではありません。
前後関係が分かれば、まずは出来事名だけを置き、年月を空欄にして進められます。
2 印象に残る出来事を書き出す
入社、異動、担当変更、昇進、休職、復職、学び直し、チームの変化など、印象に残る出来事を書きます。
仕事だけでは説明しにくい場合は、生活の変化も自分が書きたい範囲で含めます。
出来事を一定数そろえる必要はありません。
忘れている区間は埋めようとせず、いま思い出せるものから始めます。
3 その時期の充実感を高低で置く
それぞれの出来事について、その時期の仕事や生活を自分がどう感じていたかを、高め、中央、低めなどで置きます。
数値を使う場合は、自分の中で時期を比べるための仮の目盛りと考えます。
人事評価、売上、上司の採点、家族の意見をそのまま縦軸にしません。
周囲からの評価と自分の充実感を両方見たい場合は、同じ数字に混ぜず、条件欄へ別々に書きます。
4 点を時間の順に結ぶ
出来事ごとに置いた点を、時間の順に線で結びます。
点のない期間を無理に補間せず、空白があることが分かるようにしても構いません。
未来の線まで右肩上がりに描く必要はありません。
ここで表すのは、覚えている過去から現在までの主観的な変化です。
5 同じ高さにある場面の条件を比べる
山と谷を見つけたら、近い高さにある時期を2つ以上選び、背景を比べます。
高い時期では、何をしていたかだけでなく、誰と関わり、どのように任され、どの程度自分で決められたかを見ます。
低い時期では、仕事内容、仕事量、役割の曖昧さ、相談のしにくさ、生活上の負担を分けます。
「異動に弱い」「管理職に向かない」のように自分を評価する前に、当時の条件を具体的にします。
6 次に確かめることを1つ決める
最後に、グラフから浮かんだ仮説を、小さく確かめる行動へつなげます。
たとえば「役割が明確だと動きやすい」という仮説なら、次の面談で優先順位と担当範囲を確認できます。
「人を支える仕事が好きかもしれない」という仮説なら、いきなり転職先を絞らず、現在の仕事で支援役を一部担当したときの感覚を記録する方法があります。
1度で人生や仕事の結論を出すのではなく、次の確認を1つ選ぶところまでを今回のゴールにします。
ライフラインチャートの空欄テンプレート

次の表をコピーし、書ける欄から埋めてください。
「充実感の高低」は、高め、中央、低めなど、自分が比べやすい言葉で構いません。
| 時期 | 出来事 | 充実感の高低 | そのときの条件 | 次に確かめること |
|---|---|---|---|---|
紙で使う場合は、横向きに置いた紙の下部へこの表を写し、上部にグラフを描くと対応を見比べられます。
表計算で使う場合は、5つの列名を1行目に入れ、出来事を時系列で1行ずつ追加します。
スライドで線を描く場合も、元の表を残しておくと、点を置いた理由を後から確認できます。
このテンプレートにマクロやAIによる自動作成機能はありません。
グラフを描くことが負担なら、表だけで条件を比べても構いません。
書式を完成させることより、経験と条件を混同せずに残すことを優先します。
ライフラインチャートの社会人記入例

以下は書き方を説明するための架空の例です。
特定の人物の体験や成果を示すものではありません。
| 時期 | 出来事 | 充実感の高低 | そのときの条件 | 次に確かめること |
|---|---|---|---|---|
| 入社時 | 新しい仕事を覚え始めた | 高め | 教わる相手と目標が明確だった | 目標が明確だと動きやすいのか |
| 異動後 | 新しい担当になった | 低め | 担当範囲が曖昧で仕事を抱えた | 優先順位を相談できる場があるか |
| 半年後 | 上司と役割を相談した | 中央 | 担当と期限を言葉にできた | 定期的な確認で負担が変わるか |
| その後 | 後輩の支援を任された | 高め | 経験を伝え相手の反応を見られた | 人を支える役割に充実を感じるか |
| 現在 | 次の役割を考えている | 未記入 | まだ判断材料が足りない | 支援と自分の担当を両立できる条件は何か |
この例では、入社時と後輩支援の時期がどちらも高めですが、前者は「教わる相手と目標が明確」、後者は「経験を使って人を支援できた」という違いがあります。
ここから「人と関わる仕事が適職だ」と決めるのではなく、教わる側と支える側のどちらで、どの条件が充実感に関係したのかを確かめます。
異動後の低い点も、異動そのものが原因とは限りません。
担当範囲の曖昧さ、仕事量、相談の機会などを分けると、希望条件と確認方法を別々に考えられます。
希望条件は「役割と優先順位を定期的に確認できること」と仮置きできます。
確認方法は「面談で担当範囲の決め方を聞く」「現在の上司と確認の頻度を相談する」のように具体化します。
希望を思いついた段階と、実際に条件が合うと確認できた段階を同じにしないことが大切です。
ライフラインチャートの山と谷を振り返る質問

線を描いたら、すべての質問に答えようとせず、気になる場所から選びます。
価値観の言葉が出てこないときは、仕事で大切にしたい価値観の一覧を見ながら、当時の条件に近いものがあるか確かめられます。
一覧の言葉を正解として選ぶのではなく、自分の経験に合う表現へ直して使います。
上っている時期を見る質問
- 何が始まり、何が減った時期でしたか。
- 自分で選べる範囲や、相談できる相手に変化はありましたか。
- 成果や評判とは別に、自分が充実していたのはどの部分ですか。
下っている時期を見る質問
- 仕事内容、仕事量、役割、人間関係、生活のどれが影響していそうですか。
- 自分で変えられた条件と、変えられなかった条件は何ですか。
- 当時は足りなかった情報や支援がありましたか。
谷を無理に「成長のきっかけ」や「乗り越えた経験」へ変換する必要はありません。
つらさが残っている出来事は詳しく書かず、いま安全に扱える条件だけを見ることもできます。
平らな時期を見る質問
- 落ち着いていたのか、変化を感じにくかったのか、どちらに近いですか。
- 維持できていた条件は何ですか。
- 変えたいことがなかったのか、動きたくても動けなかったのかを分けられますか。
値を置けない時期を見る質問
- 覚えていないのか、複数の感情があり1つに決めにくいのか、書きたくないのかを区別できますか。
- 点を置かず、出来事と条件だけを残す方法は合っていますか。
- 後日思い出したときに足す余白を残せますか。
答えは、その時点の仮説です。
思いついた強みや価値観を確定事項にせず、日々の仕事や人との対話で確かめます。
ライフラインチャートを仕事や転職の判断に活かす

グラフを仕事や転職へ使うときは、経験→当時の行動→現在の希望→次の確認の順に言葉にします。
自己PRや面接の材料にはできますが、採用結果や転職後の適合を保証するものではありません。
まず「後輩の支援を任された時期は充実感が高かった」という経験を置きます。
次に「相手の状況を聞き、手順を一緒に整理した」という当時の行動を確認します。
そこから「人の成長を支える役割を一部持ちたい」という現在の希望を仮置きし、「応募先で支援役を担う場面と評価方法を聞く」という次の確認へ進みます。
架空の面接準備文にすると、次のように表せます。
後輩の業務支援を担当した際は、相手が迷っている点を聞き、手順を一緒に整理しました。
この経験から、人を支えながら自分の担当も進める働き方に関心があります。
御社では、チーム内の支援役をどのように分担していますか。
これは説明用の架空例です。
実際に使うときは、自分が経験した事実、取った行動、まだ確認できていない希望を分けてください。
現在の職場の面談なら、「優先順位はどのように決まりますか」「担当範囲が変わるときは誰と確認できますか」「支援業務と個人の担当はどう配分されますか」と質問できます。
転職をすぐ決めずに現状と希望条件を整理したい場合は、仕事やキャリアに迷ったときの整理方法も参考にしてください。
ライフラインチャートを人と振り返るときの進め方

ライフラインチャートは、誰かに見せることが完成条件ではありません。
1人で書いて、そのまま保管しても構いません。
人と振り返る場合は、先に本人が共有したい範囲を決めます。
相談相手は、上司、同僚、家族、友人、キャリアに関する専門家などが考えられます。
相手との関係によって話しやすい内容が変わるため、グラフ全体を見せず、現在の迷いに関係する一部だけを伝える方法もあります。
聞く側は「この谷が弱みだ」「この山が適職だ」と解釈を押し付けません。
「この時期には何がありましたか」「当時はどの条件が影響したと思いますか」「今は何を確かめたいですか」のように、本人の言葉を待つ質問を使います。
共有後に相手の意見を書き足す場合は、自分の気づきと混ざらないように区別します。
作成日や追記日を残しておくと、後から見直したときに、いつの受け止め方か分かります。
書き直して線が変わっても、以前の自分が間違っていたという意味ではありません。
ライフラインチャートで迷いやすい点の確認

何歳から書けばよいですか
決まった開始年齢があるとはいえません。
社会人の仕事を見直したいなら、働き始めた時期、今の会社への入社時、直近の役割変更など、目的に合う場所から始めます。
出来事はいくつ必要ですか
必要な数の基準は設けません。
思い出せる出来事を置き、比較したい条件が見えにくければ後から足します。
数を埋めるために重要でない記憶を無理に探す必要はありません。
線が平らでも使えますか
使えます。
安定していた条件、変化を感じにくかった理由、維持したいことを言葉にできます。
平らな線を「成長していない」と評価しないことが大切です。
Excelやスプレッドシートでも書けますか
書けます。
表計算では、時期、出来事、充実感の高低、そのときの条件、次に確かめることの5列を作ると整理できます。
グラフ機能の細かな設定が負担なら、表のまま使っても構いません。
共有や保存はどうすればよいですか
個人的な出来事を含むため、誰に見せるか、どこに保存するかを自分で選びます。
共有するときは必要な行だけ抜き出し、作成日を残します。
仕事用の共有場所へ置く前に、私的な情報が含まれていないか確認してください。
つらい経験も書く必要がありますか
必要ありません。
書きたくない出来事は省き、期間だけ空欄にできます。
振り返ることで心身の負担が強くなる場合は作業を止め、商品選びとは切り分けて、公的な相談先や医療機関など適切な支援を検討してください。
ライフラインチャートから次に確かめる行動へ

ライフラインチャートから選ぶ次の行動は、小さく具体的にします。
「転職する」と決める前に、「次の面談で担当範囲を確認する」「充実感が高かった日の条件を1週間記録する」「経験者に役割の実態を聞く」といった確認へ分けると、判断材料を増やせます。
自己分析の方法を広く比べたい場合は、大人の自己分析の進め方も参照できます。
そこで方法を増やすより、今回のグラフで気になった出来事を1つ選び、自分の言葉にすることから始めても構いません。
株式会社Rinが運営する自分と話すノートは、プロコーチが設計した悩み相談専用AIです。ノート、価値観マップ、AIコーチとの対話を使って、自分の考えや気持ちを整理できます。
紙の線から気になった経験を1つ選び、日々の言葉で振り返りたい人向けです。
働き方や次の目標を人と一緒に整理したい場合は、株式会社Rinが運営する別サービスSHIFT6で、プロコーチと目標や行動を考えられます。
グラフは答えを出す診断ではないため、どちらを使う場合も、線から見えたことを仮説として次の確認につなげてください。



コメント