もし「商談」ということばを、なんとなくの雰囲気で使っている自覚があるなら、この先が役に立つかもしれません。
打ち合わせ・面談・プレゼンとの違い、商談の流れ6段階、話しはじめる前に決めておくコツ、そして「商談化率の平均は何%か」というよく聞かれる問いまで、確認できた事実だけを積み上げてまとめました。

商談とは 打ち合わせ・面談・プレゼンと何が違うのか

商談とは、商品やサービスの取引について相談し、相手が検討するための条件や情報を確かめる話し合いです。本記事では、その場で契約を決める場合だけでなく、課題を確認し、次の検討へ進むための話し合いも含めて扱います。
その場で何を確認するかをそろえる
初めて話す相手なら、困っていることや検討の背景を聞くところから始まるかもしれません。比較が進んでいる相手なら、仕様、費用、導入時期などが中心になります。同じ「商談」という名前でも目的は変わるため、開始時に何を相談したいかを共有します。
打ち合わせや面談と重なることもある
打ち合わせは業務の相談や調整などにも使われる広い呼び方です。面談も、採用、評価、営業などさまざまな目的で行われます。プレゼンは説明する方法を指すことが多く、商談の中で行う場合もあります。呼び方で厳密に分けることより、今日の目的と参加者の役割をそろえることが役立ちます。
契約を急ぐ前に検討条件を確かめる
相手がまだ必要性を判断している段階で、価格交渉だけに進んでも話がかみ合いません。逆に、導入条件を具体的に確認したい相手へ一般的な説明を繰り返すと、必要な情報が届きません。いま何を判断しようとしているかを聞き、説明の順序を選びます。
商談の終わりに残すものを決める
結論が出ない場合も、検討に必要な材料、次に確認する人、連絡の予定が分かれば、次の行動を決められます。相手が見送る場合には、その意思と今後の連絡の希望を尊重します。話し合いをした事実だけで進捗とみなさず、合意した内容を記録します。
商談中とは どの状態を指しているのか

商談中とは、案件が進行していて次のアクションが決まっている状態を指す、社内のことばです。
商談中は「案件が動いている」ことを指す社内のことば
商談中として管理する範囲は、社内でそろえる必要があります。
営業の現場で、案件のステータスを示すために使われている社内のことばです。
初回の接触が終わり、次の話し合いへ進んでいる状態を指すのが一般的です。
商談中と見込み客の違いは次の日程があるかどうか
見込み客は、まだ具体的な接触が始まっていない相手を指します。
商談中は、すでに接触が始まり、次の日程が決まっている、または決めようとしている状態です。
次の予定があるかどうかが、この2つを分ける目印になります。
商談中のまま止まる案件が生まれる理由
次の日程が決まらないまま「商談中」のステータスだけが残ることがあります。
これは、案件が動いているように見えて、実際には止まっている状態です。
商談中ということばを、実態のない棚上げの言い訳に使わないことが大切です。
商談中かどうかを判断する3つの目印
判断の目印は3つあります。
次の日程が決まっているか、決めることに双方が合意しているか、そして相手からの反応が続いているかです。
このどれも満たさない案件は、商談中ではなく止まっている案件として扱ったほうが実態に合います。
商談の流れ 6つの段階

商談の流れは、大きく6つの段階に分けられます。
段階1 事前準備(相手の状況を先に読む)
本題に入る前に、相手の状況を確認しておきます。
会社の規模、担当者の立場、これまでのやり取りを把握しておくと、当日の会話の精度が上がります。
誰が決めるのかまで先に確かめておく方法は、次の章でも扱います。
段階2 冒頭で今日の終わり方を共有する
商談の冒頭で、今日をどう終えたいかを相手と共有します。
「今日は方向性の確認まで」「今日は見積もりの提示まで」のように終わり方を先に言葉にしておくと、時間の使い方に無駄が出にくくなります。
段階3 聞く(この時間をいちばん長く取る)
6段階の中で、いちばん長く時間を取るのがこの段階です。
相手の現状と、望んでいることを聞きます。
話す時間より、聞く時間のほうを長く取ることが、この段階の基本です。
段階4 提案する(相手の言葉に翻訳して返す)
聞いた内容を、こちらの言葉に置き換えずに、相手の言葉のまま使って提案します。
一般論に置き換えてしまうと、相手は「分かってもらえていない」と感じます。
段階5 条件と懸念を確かめる
提案のあとは、条件面と懸念点を確かめます。
金額・時期・決め方について、その場で言葉にしてもらうことで、あとからの手戻りを防げます。
段階6 次の一歩を決めて終わる
最後に、次に何をするかを決めて終えます。
「また連絡します」のような曖昧な終わり方ではなく、次の日程や次に動く人まで具体的に決めます。
流れを覚えるより順番を飛ばさないことが大事
6段階を暗記すること自体には意味がありません。
大切なのは、聞く前に提案しない、条件を確かめる前に終えない、という順番を飛ばさないことです。
順番さえ守れれば、話す内容は相手によって変わってよいものです。
商談で使う資料の作り方は、提案資料の作り方7ステップでも扱っています。
商談の準備で決めておく5つのこと

商談の準備では、当日話す内容より先に、決めておくべきことが5つあります。
誰が決めるのかを先に確かめる
商談に出てくる相手が、その場で決められる立場かどうかを、先に確かめておきます。
決める人が別にいる場合、その人にどう伝わるかまで考えて準備する必要があります。
決裁者の見つけ方は、決裁者を見つける3つの聞き方にまとめています。
今日決めたいことを1つに絞る
商談ごとに、今日決めたいことを1つに絞っておきます。
欲張って複数を狙うと、どれも中途半端なまま時間が終わります。
出せない条件(やめる線)を先に決めておく
どこまでなら譲れて、どこからは譲れないかを、事前に決めておきます。
その場の空気で条件を崩すと、あとで社内的に説明できなくなります。
資料は当日渡すものと後で渡すものを分ける
すべての資料を当日渡す必要はありません。
当日の話に必要なものと、検討段階で渡すものを分けておくと、相手も情報を整理しやすくなります。
答えられない質問が来たときの返し方を決めておく
答えられない質問が来ることは、珍しくありません。
その場で無理に答えようとせず、「持ち帰って確認します」と正直に返す準備をしておきます。
商談のコツ 話しはじめる前に決めておく5つ

商談のコツは、話しはじめる前に、答え方の型を決めておくことに尽きます。
コツ1 聞かれたことにまず短く正面から答える
聞かれた質問には、まず短く正面から答えます。
出し惜しみして質問で返すと、相手は不信感を持ちます。
コツ2 質問の裏にある用事を仮説の形で1つだけ確かめる
質問の裏には、たいてい別の用事があります。
その用事を仮説の形で1つだけ、外れる余地を残して確かめます。
「もし社内でのご説明用でしたら」のように、言い切りながらも訂正できる形で伝えるのがコツです。
コツ3 二択で詰めない
「Aですか、Bですか」と二択で詰めると、相手は答えにくくなります。
選択肢を狭めるのではなく、相手が自分の言葉で答えられる余地を残します。
コツ4 相手の言ったことばをそのまま使う
相手が使った言葉を、こちらの一般論に置き換えずにそのまま使います。
言い換えられると、相手は「自分の話として聞かれていない」と感じます。
コツ5 分からないことはその場で分からないと言う
分からないことを、その場で分かったふりをして答えないようにします。
正直に「分かりかねます」と伝えたほうが、あとの信頼につながります。
やってはいけない4つ
やってはいけないことも4つあります。
聞かれたことに答えず質問で返す「裸の質問返し」、確認や「なぜ」の連発、二択で詰めること、そして相手のことばを一般論に置き換えることです。
この4つは、株式会社Rinが商談・接客の対話設計で避けている基本の型と同じです。
型を声に出して練習しておきたい場合は、1人ロープレをAIで練習する無料ツールも使えます。
商談のアイスブレイクは何のためにあるのか

商談のアイスブレイクは、場を温めるためではなく、相手が話せる状態をつくるためにあります。
場を温めるためではなく話せる状態をつくるため
アイスブレイクの目的は、雰囲気を良くすることそのものではありません。
相手が構えずに話せる状態を作ることが目的です。
天気と交通の話が続かない理由
天気や交通の話は、誰にでも当てはまるぶん、会話が続きません。
相手にとって具体性のない話題は、アイスブレイクとして機能しにくいものです。
事前に調べたことを1つだけ出す
相手の会社や業界について事前に調べたことを、1つだけ話に出します。
多く出しすぎると、下調べの披露になってしまい、逆効果です。
アイスブレイクを省いてよい場面
時間が限られている商談や、すでに何度も会っている相手には、アイスブレイクを省いてよい場面もあります。
省くかどうかも、相手の状況を見て判断します。
オンライン商談のコツ 対面から変える5点

オンライン商談では、対面のやり方をそのまま持ち込まず、変えたほうがよい点が5つあります。
資料を後で見返せる形で渡す
画面共有で資料を見せるだけでなく、URLでも渡しておきます。
URLで渡しておけば、相手は商談のあとも自分のペースで見返せます。
資料の渡し方は、営業資料をURLで共有する方法でも扱っています。
沈黙の意味が読めないので確認を口に出す
オンラインでは、対面のときのような表情や間の読み取りがしにくくなります。
沈黙が続いたときは、「ここまでで気になる点はありますか」のように、確認を口に出します。
画面の外に同席していない決め手がいる前提で話す
画面に映っていない場所に、意思決定に関わる人がいることがあります。
その場にいない人にも伝わる話し方を、最初から意識しておきます。
録画と議事録の扱いを最初に確認する
録画するかどうか、議事録を誰が取るかを、商談の最初に確認しておきます。
あとから確認すると、相手に不要な警戒を与えることがあります。
接続できない場合の連絡方法を決める
開始前に会議のURLと連絡先を共有し、音声や画面が使えないときの連絡方法を決めます。聞こえなかった部分があれば、その場で確認し直せるよう伝えます。終了時には次の行動を口頭でそろえ、必要な資料や記録を合意した方法で送ります。
商談化率とは 計算のしかたと比較前にそろえる条件

商談化率は、見込み客や接点のうち、どのくらいが商談へ進んだかを見る割合です。
計算する前に、自社で「商談」と数える状態と、分母にする対象を決めます。
分子と分母をそろえる
この記事では、対象期間に商談へ進んだ件数を、同じ対象群の見込み客数で割る形を例にします。
計算式は「商談数 ÷ 対象となる見込み客数 × 100」です。
面談の予定を取った段階か、実際に面談した段階かによって、分子は変わります。
架空の計算例として、同じ期間の対象100件から実施済みの商談が10件なら、この定義では10%です。
対象を新規の問い合わせだけにするのか、展示会の名刺まで含めるのかが変われば、同じ10%でも意味が変わります。
他社の数値は定義を確認してから読む
他社の平均値や事例を読むときは、商材、集客経路、対象期間、商談の定義を確認します。
条件が違う数字を、自社が達成すべき値としてそのまま置かないようにします。
自社の同じ条件の記録と比べ、どの段階が変わったかを確かめます。
件数と止まった理由を一緒に残す
割合が上がっても、対象件数が減っている場合があります。
割合と件数を併記し、次の担当に渡せなかった理由や、相手が検討を見送った理由も分けます。
目標を決めるときは、対応できる件数と、商談の準備に使う時間も含めて考えます。
商談が止まる4つの場所

商談が止まる場所は、たいてい次の4つのどれかです。
場所1 決める人に話が届いていない
商談の相手が、実際に決める人ではないことがあります。
決める人に話が届かないまま、商談だけが繰り返されることがあります。
場所2 社内で説明できる形になっていない
相手が納得していても、その内容を社内で説明できる形になっていないと、話は進みません。
言葉にして持ち帰れる形にしておくことが必要です。
場所3 次の日程が決まらないまま終わっている
次の日程を決めずに商談を終えると、そのまま止まってしまうことがあります。
「また連絡します」で終わらせないことが、この場所を防ぐ手立てです。
場所4 断る理由が言葉になっていない
相手が断ろうとしているのに、その理由が言葉になっていないことがあります。
理由が分からないまま止まった案件は、次に活かせません。
資料請求のあとのフォローについては、資料請求後のフォロー手順でも扱っています。
商談のあとにやる4つのこと

商談が終わったあとにやることも、4つに整理できます。
その日のうちに決まったことだけを書き出す
商談の直後に、決まったことだけを書き出します。
記憶が新しいうちに書いておかないと、細部から抜け落ちていきます。
お礼メールは「記録」として送る
お礼メールは、お礼を伝えるための儀礼ではなく、決まったことを記録として残すために送ります。
書き方と例文は、商談後のお礼メールの書き方と例文にまとめています。
会えていない決め手に何を渡すかを決める
その場にいなかった決め手役の人に、何を渡すかを決めます。
会えていない人にどう伝わるかまで考えておくと、次の商談につながりやすくなります。
断られた案件を消さずに残す
断られた案件を、記録から消さずに残しておきます。
理由が分かっている案件は、時期が変わったときの候補になります。
商談の資料は社内で一人歩きすることを前提につくる

商談の資料は、商談の場にいない人が、その資料だけを見て判断することを前提につくります。
商談に出ていない人が資料だけを見て判断している
決める人が、商談に同席しているとは限りません。
資料が、その場にいなかった人に代わって説明する役割を持つことがあります。
資料が推測で答えると事故になる
資料の中に、担当者の推測で書かれた内容が混ざっていると、事故につながります。
答えられない部分は、答えられないと明示しておいたほうが安全です。
答えられなかった質問が残ることが次の商談の材料になる
資料に対して出てくる質問を、加工せずそのまま残しておくと、傾向が見えてきます。
答えられなかった質問が積み重なった箇所は、資料や説明のどこが足りないかを示すヒントになります。
商談に出ていない人のところで、資料が代わりに答える。
そう考えてつくられたのが、株式会社Rinのきける資料です。
「誰かに伝える」ボタンで、担当の方が決裁者や同僚へそのまま共有でき、だれが共有したかは記録に残ります。
質問の履歴は加工せず全量が残り、答えられなかった質問の傾向もあとから確認できます。
料金は、きける資料のページに掲載しています。
商談についてよくある質問

商談について、よく聞かれる質問に答えます。
Q. 商談と打ち合わせは呼び方を分けたほうがいいですか?
条件を決める場かどうかで、呼び方を分けておくと社内の認識がそろいます。
決めることが前提でない集まりまで商談と呼ぶと、準備の重さが人によって変わってしまいます。
Q. 商談の時間はどれくらいが適切ですか?
商談の時間は、確認する内容と参加者の都合に合わせて決めます。
冒頭で「今日の終わり方」を共有しておけば、時間の長さそのものより、決めたいことが決まるかどうかのほうが重要になります。
Q. 商談化率の目標は何パーセントに置けばいいですか?
商談化率は、対象、期間、分母、商談と数える状態をそろえてから、自社の目標を考えます。
他社の数字ではなく、自社の前月の数字と比べて目標を置くことをおすすめします。
Q. オンライン商談で資料は事前に送るべきですか?
事前に送ること自体は問題ありません。
ただし事前に送っただけで安心せず、当日もURLで渡し、資料に対する質問が残る仕組みにしておくと、資料の役割が広がります。
Q. 商談で価格を最初に出してもいいですか?
最初に出してはいけないという決まりはありません。
ただし価格だけを先に出すと、その前提になる条件が伝わらないまま数字だけが独り歩きすることがあります。
商談は「決める場」ではなく「決められる状態をつくる場」(まとめ)

商談は、その場で決める場というより、決められる状態をつくる場だと捉えると、準備の仕方が変わります。
今日の商談で1つだけ決める
すべてを一度の商談で決めようとせず、今日は何を1つ決めるかを、始める前に決めておきます。
聞く、提案する、確かめる、という順番さえ飛ばさなければ、話す内容は相手によって変えてかまいません。
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この記事では、商談の定義・準備・6つの段階・コツ・アイスブレイク・オンラインの違い・商談化率・止まる場所・あとにやること・資料の作り方まで扱いました。
決裁者の見つけ方、提案資料の作り方、資料請求後のフォロー、営業資料の共有方法、商談後のお礼メールについては、それぞれ本文中でリンクした記事にまとめています。
商談に出ていない人にも資料が答えられる状態にしておきたい方は、きける資料をご覧ください。
著者:鶴田 洋(つるた ひろし)/Gallup認定ストレングスコーチ


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