提案資料の作り方7ステップとサンプルの使い方

提案資料の作り方を調べると、構成の順番とデザインのコツはすぐに見つかります。
サンプルもたくさん出てきます。それを真似て作ったのに、相手の反応が薄い。そういうことが起こります。

理由はひとつです。サンプルには、いちばん大事な「相手」が入っていません。

もし手本どおりに作ったつもりなのに手ごたえがないと感じているなら、最後まで読んでいただく価値があると思います。7つの手順とサンプルの正しい使い方に加えて、出来上がった資料が合っていたかを確かめる方法まで書きました。

最終更新:2026年8月16日

目次
商談で「聞けなかったこと」を可視化する仕組みです。
「きける資料」を見る

提案資料の作り方は書き始める前に7割が決まる

提案資料の出来は、スライドを開く前の準備でほぼ決まります。書きながら考えると、途中で話がねじれて、直す作業が本番になります。

提案資料と企画書の違い

企画書は、まだ形になっていないことを世に出すための資料です。
提案資料は、相手がすでに抱えている状態に対して、こちらの案を当てる資料です。

出発点が違うので、書き出しも変わります。
企画書は「こんなことをやりたい」から始められますが、提案資料は「御社はいまこうなっている」から始めないと、相手の関心が動きません。

社外向けと社内向けで変わるところ

社外向けは、前提を共有していない相手が読みます。
略語も社内の呼び方も通じないので、言葉をそろえるページが要ります。

社内向けは、前提の説明が短くて済むかわりに、費用と工数の根拠を細かく求められます。
同じ構成を使い回すと、どちらでも必要なページが足りない資料になります。

書く前にそろえる3つの材料

材料 集め方 ないまま書くとどうなるか
相手が使った言葉 商談メモ 問い合わせ文 面談の録音 こちらの用語で書いてしまい他人ごとになる
読む人と決める人 担当者に直接聞く 担当者に刺さっても決裁で止まる
すでに試したこと ヒアリングで必ず確認 相手が去年やって失敗した案を提案してしまう

この3つがそろっていれば、構成に迷う時間はほとんどなくなります。

提案資料の作り方7ステップ

順番に意味があります。4番目より前でスライドを開かないことが、この手順の要です。

ステップ1 相手の現在地を1文にする

「御社はいま、こういう状態にある」を1文で書きます。
ここで手が止まるなら、材料が足りていません。書き始めるより先に、もう一度聞きに行ったほうが早く終わります。

ステップ2 提案のゴールを1文にする

この資料を読んだあと、相手に何をしてほしいのかを決めます。
発注してほしいのか、社内で回してほしいのか、次の打ち合わせを設定してほしいのか。ここが曖昧だと、締めのページが書けません。

社内の誰がどの観点で判断するかを整理したい方は、決裁者・決裁権・稟議の違いを確認すると、読み手に合わせた材料を考えやすくなります。

ステップ3 現在地とゴールのあいだを埋める

1と2をつなぐのに必要な話を、付せんのように書き出します。
このとき順番は気にしません。数を出すことだけ考えます。

ステップ4 並べ替えて捨てる

出したものを、相手が知りたい順に並べます。
そのうえで「これがなくても相手は決められるか」と1枚ずつ問い、答えが「決められる」なら落とします。

この工程がいちばん時間を使う価値があります。
落としたページの数だけ、残ったページに割ける説明が増えるからです。全部を入れた資料は、結果として何も伝わらない資料になります。

ステップ5 1枚に1つだけ置く

ここで初めてスライドを開きます。
1ページに言いたいことを2つ入れると、どちらも印象に残りません。迷ったら分けます。

ステップ6 数字と根拠を確かめる

効果を書いた箇所には、必ず出どころを添えます。
自社の実績なら期間と条件、外部の数字なら調査元。ここが空欄のページは、商談で必ず突かれます。

ステップ7 声に出して通しで読む

最後に、はじめから終わりまで声に出して読みます。
息が続かない文、つっかえる言い回し、飛んでいる話。目で追うだけでは気づけないものが、ここで見つかります。

読み上げにかかった時間も測っておきます。
商談で説明する時間の見当がつき、当日にページを飛ばす事態を防げます。10分で終わらないなら、まだ削れる余地があります。

提案資料の基本構成9枚とそれぞれの役割

枚数を増やすほど伝わらなくなります。迷ったら、次の9枚を基本形にしてください。

ページ そのページの役割
1 表紙 誰に向けた何の提案かを一目で示す
2 目次 読む時間の見当をつけてもらう
3 現状の整理 相手の言葉で状況を言い直して認識を合わせる
4 課題の絞り込み 今回どこに手を入れるかを1つに決める
5 提案の全体像 解決策を1枚で言い切る
6 具体的な進め方 実際に何が起きるかを想像できるようにする
7 得られる結果 数字と根拠をセットで示す
8 体制と期間 実行できることを示す
9 費用と次の一歩 金額と、相手が次にする行動を書く

順番を入れ替えてよい場所

7と9は、相手によって前後します。
予算が先に決まっている案件では、費用を早めに出したほうが話が進みます。逆に価値が伝わる前に金額を見せると、そこで判断が止まります。

足してよいページ 足さないほうがよいページ

足してよいのは、相手が名前を出した競合や、すでに使っている仕組みとの関係を説明するページです。
足さないほうがよいのは、会社紹介と実績一覧を長く続けるページ。読む人は、自分の話が始まるまで待ってくれません。

提案資料のサンプルはどこで手に入るか

サンプルは目的別に置き場所が違います。探し方を先に決めると、迷う時間が減ります。

探し先 手に入るもの 向いている使い方
デザインツールのテンプレート集 体裁の整ったスライドの型 見た目の基準をそろえたいとき
ビジネス書式のサイト 社内向け提案書の文例 稟議や業務改善の提案を書くとき
公開されている実物の提案書 実際に通った資料の構成 話の運び方を学びたいとき
自社の過去の受注資料 自分の商材に合った言い回し いちばん役に立つが見落とされやすい

いちばん役に立つサンプルは社内にある

見落とされがちですが、過去に受注した自社の提案資料が最良のサンプルです。
商材も相手の業界も近く、実際に通った実績があります。外に探しに行く前に、まず社内を探してください。

サンプルを探す前に決めておくこと

探す前に、ステップ1と2で書いた2つの文を手元に置きます。
これがないままサンプルを見ると、見た目の好みで選んでしまい、構成が自分の案件と合わなくなります。

提案資料のサンプルを真似ても刺さらない理由

ここが、作り方の記事でほとんど書かれていない部分です。

サンプルは、誰かの案件のために作られた資料です。相手の事情がすでに埋め込まれているので、そこだけを抜いて別の相手に当てても、同じようには機能しません。

サンプルには相手が入っていない

公開されているサンプルは、相手が特定できないように具体的な部分が抜かれています。
残っているのは、どこにでも通じる型だけです。型は借りられますが、刺さる部分は最初から入っていません。

借りてよいのは骨 入れ替えるのは中身

サンプルから借りるのは、次の3つに絞ります。

  • ページの並び順(どの話をどこで出しているか)
  • 1枚あたりの情報量(文字をどこまで削っているか)
  • 見出しの言い回し(体言止めか 文かの統一)

逆に、そのまま持ってきてはいけないのが本文の言葉です。
相手が使っていない語を並べると、そこだけ温度が下がります。

サンプルの読み方3手順

1つのサンプルから学べる量は、読み方で大きく変わります。

  • 1 見出しだけを書き写して、話の流れを取り出す
  • 2 各ページで相手に何を思わせたいのかを推測して書き添える
  • 3 自分の案件で同じ役割を果たすページは何かを埋める

この3手順を通すと、サンプルは「真似るもの」から「自分の構成をつくる道具」に変わります。

複数のサンプルを見比べるときの見方

1つだけ見ると、その資料の癖まで正解に見えてしまいます。
3つ以上を見比べて、共通している部分だけを型として採用してください。

共通しているのは、たいてい「現状の整理を先に置く」「効果に根拠を添える」「最後に次の行動を書く」の3点です。
逆に、ページ数や色づかいは資料ごとにばらばらで、そこに正解はありません。

提案資料の作り方でよくある4つの失敗

会社紹介から始めてしまう

読む人が知りたいのは、自分の状況がどうなるかです。
沿革と実績は、提案が伝わったあとで信用を補強する材料になります。順番を後ろに回すだけで、読まれ方が変わります。

1枚に情報を詰め込む

削る時間がないと、1枚あたりの文字が増えます。
その結果、相手は全部を読み飛ばします。枚数を増やすほうが、読まれる量はむしろ増えます。

効果に根拠がない

「大幅な効率化」「圧倒的な改善」という言葉は、根拠がないことを目立たせます。
数字が出せないなら、条件つきで小さく書いたほうが信用されます。

次に何をすればよいかが書かれていない

最後のページが「ご検討よろしくお願いいたします」で終わる資料は多くあります。
相手は、何をすれば話が進むのかを書いてもらったほうが動けます。

作った提案資料が正しかったかを確かめる方法

手順どおりに作り、サンプルも参考にした。それでも、その資料が良かったかどうかは作った側には判定できません。

作った本人は自分の資料を採点できない

書いた人は、書いていない部分を頭の中で補いながら読みます。
だから「分かりやすくできた」という感想は、ほとんど当てになりません。社内で見せ合っても、前提を共有している人同士なので同じことが起こります。

相手が何を聞いてきたかを見るしかない

確かめられる材料は1つだけです。
資料を渡したあと、相手から出てきた質問です。伝わらなかった箇所が、そのまま質問の形で返ってきます。

費用の話から始まるなら、価値のページが弱かったということ。
「うちの場合はどうなりますか」と聞かれるなら、相手の状況に寄せた記述が足りなかったということです。ステップ4で落としたページが正しかったかも、ここで分かります。

質問が出やすい渡し方にしておく

ただし、PDFを添付して送るだけでは、この材料は集まりません。
相手は読んで、黙って閉じます。開いたのかどうかも分かりません。

渡し方を変えると、ここが見えるようになります。手段ごとの違いは営業資料をURLで共有する6つの方法で、費用の目安と「相手が見たか分かるか」を並べて整理しています。

反応がなかったときに何を見るか

いちばん困るのは、何も返ってこない場合です。
このとき資料を作り直しても、直す場所の見当がつきません。

先に決めておくのは、追いかけ方です。
いつ 誰に 何を聞くかを段取りにしておくと、反応が薄い相手からも材料が取れます。手順は資料請求後のフォロー手順にまとめました。

集まった質問を次のサンプルにする

返ってきた質問は、記録に残して次の資料の材料にします。
何度も同じことを聞かれるなら、その答えは最初から1枚にして入れておく。こうして自分の商材に合ったサンプルが、社内に貯まっていきます。

下書きづくりにAIを使う場合の手順とプロンプトは、提案資料をAIで作成する手順とプロンプト例10個にまとめました。

提案資料の作り方とサンプルに関するよくある質問

提案資料は何枚が適切ですか

初回の提案なら9枚から15枚が扱いやすい範囲です。
詳細な仕様や見積の内訳は、本編から外して別添にすると本編が読まれやすくなります。

無料のサンプルとテンプレートは何が違いますか

テンプレートは体裁の型で、サンプルは中身の入った実例です。
体裁だけそろえたいならテンプレート、話の運び方を学びたいならサンプルを見てください。

デザインにどこまで手をかけるべきですか

読みにくさで集中が切れない水準までで十分です。
色は3色まで、フォントは2種類まで。この2つを守るだけで、大きく崩れることはなくなります。

社内向けの提案資料でも同じ構成でよいですか

骨組みは同じですが、費用と工数の根拠を厚くしてください。
社内では前提の説明を短くできるぶん、実行できるかどうかの説明に紙面を回せます。

提案資料の作り方で最後に残るもの

手順もサンプルも、たどり着く先は同じところです。
相手がいま何に困っていて、この資料を読んだあと何をしてほしいのか。この2つが書けていれば、体裁は後から整います。

そして作った資料が合っていたかは、相手からの質問でしか分かりません。作って終わりにせず、返ってきた言葉を残していくことが、次の1本をいちばん速く良くします。

この手順を試して、うまくいった点や合わなかった点があれば、ぜひ教えてください。いただいた工夫を反映して、内容を更新していきます。

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