提案資料をAIで作成する手順とプロンプト例10個

提案資料をAIで作ると、初稿は驚くほど早く出てきます。
文章の流れも整っていて、デザインも崩れていない。それなのに送ったあと、相手から何も返ってこないことがあります。

原因はAIの性能ではありません。AIに渡す前の段取りと、送ったあとの確かめ方が抜けているだけです。

もし提案資料をAIで作ってみたものの、これで合っているのか分からないまま送っているなら、最後まで読んでいただく価値があると思います。手順とプロンプト例に加えて、出来上がった資料が正しかったかを確かめる方法まで書きました。

最終更新:2026年8月16日

目次
商談で「聞けなかったこと」を可視化する仕組みです。
「きける資料」を見る

提案資料をAIで作成するとは何を任せることか

提案資料の作成にAIを使うとは、資料づくりの全工程を渡すことではなく「形にする」工程だけを渡すことです。ここを取り違えると、整っているのに刺さらない資料が出来上がります。

AIが担えるのは形にする工程

提案資料づくりは、大きく3つの工程に分かれます。
相手を調べる工程、何を言うかを決める工程、それを見える形にする工程です。

このうちAIが安定して速いのは、3つ目だけです。
構成の骨組みを出す、文章を整える、スライドに割りつける。ここは人が手を動かすより明らかに速く終わります。

AIに任せられないのは相手を決める工程

相手の会社が今どこで詰まっているのか、決裁者が何を怖がっているのか。
この材料は、商談の記録やヒアリングのメモの中にしかありません。

手元にない情報は、AIも持っていません。
渡さないまま書かせると、AIは一般論で埋めます。「業務効率化が急務となっている昨今」で始まる資料は、ほぼこの状態です。

提案資料の作成AIには3つの種類がある

「提案資料 AI」で出てくるツールは、役割が異なる3種類に分けられます。ここを混ぜて比べると選べなくなります。

種類 できること 向いている場面
文章生成型(ChatGPTなど汎用AI) 骨子づくり 文章の推敲 言い換え 何を言うかがまだ固まっていない段階
スライド生成型 文章を入れるとスライドの形に自動整形 言うことは決まっていて形にしたい段階
営業支援ツール連携型 顧客データや商談記録を読み込んで下書き 案件数が多く記録が蓄積されている組織

個人や少人数で使うなら、文章生成型とスライド生成型の2つを組み合わせるのがいちばん扱いやすい形です。

提案資料の作成にAIを使う4つのメリット

AIを入れて変わるのは作業時間だけではありません。むしろ効き目が大きいのは、書き出しの重さが消えることです。

初稿までの時間が縮む

白紙のスライドを前に構成を考える時間が、そのまま消えます。
骨子が数十秒で出てくるので、人が使う時間は「書く」から「削る」ほうへ移ります。

この移り方には意味があります。
足すより削るほうが、判断の材料がそろっているぶん決めやすいからです。ゼロから20枚を組み立てるより、出てきた15枚から6枚を落とすほうが、迷いは確実に少なくなります。

デザインの当たり外れが減る

フォント サイズ 余白の判断は、慣れていないほど時間がかかります。
スライド生成型のツールは、そこに一定の基準を持っています。飛び抜けて良いものは出ませんが、ひどく崩れたものも出てきません。

提案の場面では、この「崩れない」のほうが効きます。
読み手は資料の美しさを採点しに来ているわけではなく、読みにくさで集中が切れることのほうが損失になるためです。

書き出しの心理的な重さがなくなる

提案資料が後回しになる理由の多くは、時間ではなく気の重さです。
たたき台がすでにある状態から始められると、着手そのものが早くなります。

構成が共有できる形になる

うまくいっている人の頭の中にしかなかった型を、プロンプトという文字にできます。
チームで同じプロンプトを使えば、提案の質のばらつきが縮まります。

提案資料をAIで作る手順6ステップ

手順を間違えると、AIの出力を直す時間のほうが長くなります。次の順で進めると、直しが最小になります。

ステップ1 相手の材料を1か所に集める

商談のメモ、相手のサイトの言葉、以前もらった質問。
これを箇条書きで20行ほど並べます。ここが空のままAIに書かせると、あとの工程がすべて一般論になります。

集めるものに迷ったら、次の4つを目安にしてください。

  • 相手が実際に使った言葉(言い換えずにそのまま写す)
  • 相手がすでに試したこと(提案が重複するのを防げる)
  • 決めるのが誰か(読む人が変われば必要なページも変わる)
  • いつまでに決めたいか(急ぎ具合で構成の重心が動く)

ステップ2 骨子だけを生成させる

いきなり全文を書かせません。
先にスライドの見出しだけを10枚ぶん出させて、話の流れが通っているかを目で確かめます。

ステップ3 骨子を自分の言葉で削る

AIが出す骨子は、たいてい2割ほど多すぎます。
「これは相手に言われたことがあるか」を基準に、根拠のない枚数を落とします。

ステップ4 1枚ずつ文章を生成する

1枚ごとに、そのページで相手に思ってほしいことを先に書いてから生成させます。
まとめて全文を出させると、どのページも同じ調子になります。

ステップ5 スライド生成AIで形にする

文章が固まってから、スライド生成型のツールに流します。
順番を逆にすると、見た目に引きずられて中身を直せなくなります。

ステップ6 数字と固有名詞を人が確かめる

金額 導入社数 相手の会社名や部署名は、必ず一次情報に当たります。
生成AIは、もっともらしい数字をためらいなく書きます。ここだけは省けません。

提案資料の作成に使えるAIプロンプト例10個

そのまま貼って使える形で並べます。かぎかっこの中を自分の案件に置き換えてください。

骨子をつくるプロンプト

  • 1「相手は[業種・従業員数]の[役職]です。以下のヒアリングメモを読み、提案資料のスライド見出しを10枚ぶん出してください。各見出しは体言止めで20文字以内。[メモ]」
  • 2「いま出した10枚の並びを、相手が最初に知りたい順に並べ替えてください。理由も1行ずつ添えてください」
  • 3「この構成のうち、相手が読まなくても意思決定できるページを3枚指摘してください」

1枚ずつの文章をつくるプロンプト

  • 4「4枚目『[見出し]』の本文を作ります。このページで相手に[思ってほしいこと]を持ってもらうのが目的です。80文字以内の文3つと、図にするなら何を描くかを提案してください」
  • 5「この本文から、こちらの都合で書かれている表現を抜き出し、相手の利益の言い方に直してください」
  • 6「専門用語を数えて、初めて聞く人に伝わらないものを平易な言葉に置き換えてください」
  • 7「効果を書いた箇所に、根拠が示されていないものがあれば指摘してください。ないものは断定を弱めてください」

見直しに使うプロンプト

  • 8「あなたは[相手の役職]です。この資料を読んで、決裁の前に確認したくなる質問を5つ挙げてください」
  • 9「この資料を読んだ相手が断るとしたら、理由は何になりますか。3つ挙げて、それぞれ資料のどこを直せば消えるかを書いてください」
  • 10「1ページだけ残すとしたらどれですか。理由とともに答えてください」

効き目がいちばん大きいのは8番と9番です。作る側は自分の資料の穴が見えないので、読む側の役をAIに演じさせます。

提案資料の作成AIツールを選ぶ4つの基準

比較記事に並ぶ機能表よりも、次の4点だけを見たほうが早く決まります。

基準 確かめること 外すとどうなるか
出力形式 PowerPointやPDFで書き出せるか 最後の微調整ができず作り直しになる
日本語の自然さ 敬語と助詞が崩れないか 手直しの時間で時短が消える
機密情報の扱い 入力内容が学習に使われない設定があるか 顧客名を入れられず一般論しか作れない
直せるかどうか 生成後にテキストと配置を編集できるか 1文字直すために全部を作り直す

とくに3つ目は先に確認しておきます。
顧客名を入れられないツールを選ぶと、ステップ1で集めた材料をAIに渡せなくなり、この記事の手順そのものが成り立ちません。

AIで作った提案資料が失敗する3つのパターン

失敗はいつも同じ形で現れます。出てきた資料を送る前に、この3つに当てはまっていないかを見てください。

どこにでも出せる一般論になっている

相手の社名を別の会社に置き換えても、そのまま通用してしまう資料です。
原因はステップ1の材料不足です。ツールを変えても直りません。

確かめていない数字が入っている

「導入企業は3割の工数削減」といった数字が、出どころのないまま入り込むことがあります。
商談の場で根拠を聞かれて答えられないと、資料全体の信用が落ちます。

全ページが同じ調子で続いている

まとめて生成すると、どのページも同じ長さ 同じ言い回しになります。
人が読むと、途中から目が滑ります。強調したい1枚だけは、自分の言葉で書き直しておきます。

AIで作った提案資料が正しかったかを確かめる方法

ここが、提案資料とAIを扱う記事でほとんど触れられていない部分です。

作った資料が良かったかどうかは、作った側には判定できません。読みやすさも、説得力も、自分で採点した時点で答え合わせになっていないからです。

作った本人は自分の資料を評価できない

書いた人は、書いていない部分まで頭の中で補って読みます。
だから「分かりやすくできた」という感想は、ほぼ当てになりません。AIに読ませても同じで、AIは相手の事情を知りません。

相手が何を聞いてきたかが唯一の答え合わせ

確かめられる材料は1つだけです。
資料を渡したあと、相手が何を聞いてきたか。ここに、伝わらなかった箇所がそのまま出ます。

質問は苦情ではなく、資料の採点表として読めます。

聞かれたこと 読み取れること 次に直す場所
費用の話ばかり 価値が伝わる前に金額に目が行った 効果のページを費用の前に置く
うちでも使えますか 自分ごとに変換できていない 相手と同じ規模 同じ業種の例を入れる
他社と何が違いますか 比較の軸をこちらから示せていない 選ぶ基準を先に書いて自社を当てはめる
誰が担当しますか 提案は通っていて実行面を見ている 体制とスケジュールを厚くする

この表の読み替えは、資料を1本送るたびに1行ずつ増えていきます。
半年ぶんためると、自分の商材でどこが伝わりにくいのかが、感覚ではなく記録として残ります。

質問が出やすい渡し方にしておく

ただし、PDFを添付して送るだけでは、この材料は集まりません。
相手は読んで、黙って閉じます。開いたかどうかも分かりません。

渡し方そのものを変えると、ここが見えるようになります。手段ごとの違いは営業資料をURLで共有する6つの方法に、費用の目安と「相手が見たか分かるか」を並べて整理しています。

質問が来なかったときに何を見るか

いちばん困るのは、何も返ってこない場合です。
このとき資料を作り直しても、直す場所の見当がつきません。

先に打つ手は、追いかけ方を決めておくことです。
送ったあとに何を いつ 誰に聞くかを段取りにしておくと、反応がない相手からも材料が取れます。手順は資料請求後のフォロー手順にまとめました。

次の資料に反映させる

集まった質問は、次のプロンプトに戻します。
先ほどの8番「決裁の前に確認したくなる質問を5つ」に、実際に聞かれた質問を例として足す。これでAIの出力が、自分の商材の現実に近づきます。

提案資料の作り方そのものを組み立て直したいときは、提案資料の作り方7ステップとサンプルの使い方もあわせてご覧ください。

提案資料とAIに関するよくある質問

無料のAIだけで提案資料は作れますか

骨子と文章までは作れます。
スライドの形にするところで無料枠の制限に当たることが多いので、文章生成は無料 スライド化は有料と分ける使い方が現実的です。

顧客の社名をAIに入力しても大丈夫ですか

使うサービスの設定によります。
入力内容を学習に使わない設定があるかを確認し、社内で決めた基準に従ってください。判断がつかない場合は、社名を伏せ字にして業種と規模だけを渡す方法があります。

AIで作ったと相手に伝える必要はありますか

伝える義務はありません。
ただし内容の責任は出した側にあります。数字と事実を人が確かめていれば、作り方は問題になりません。

AIを使うと提案資料の質は上がりますか

速さは確実に上がります。質が上がるかどうかは、渡す材料の量で決まります。
同じツールでも、相手の情報を20行渡した人と何も渡さない人では、出てくるものがまるで違います。

提案資料をAIで作るときにいちばん大事なこと

AIは、こちらが知っていることを形にするのが得意です。
知らないことは埋められません。

だから力を入れる場所は、プロンプトの巧みさよりも、相手について集めた材料の量と、送ったあとに質問を拾える状態をつくることの2つになります。

この記事の手順を試して、うまくいった点や合わなかった点があれば、ぜひ教えてください。実際に使われた工夫を反映して、内容を更新していきます。

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