展示会で名刺を交換した後、誰に何を送るかが決まらず、連絡が同じ文面になってしまうことがあります。
フォローを進めるためには、会場で話した内容と次の約束を、担当者が使える記録に残すことが出発点です。
この記事では、お礼メールの内容、連絡する順番、担当者への引き継ぎ、結果の記録を整理します。
当社の過去の出展記録は、確認した当時の日付と集計範囲を示して紹介します。

展示会のフォローはいつから始まっているのか

展示会のフォローは、会期が終わったあとの作業ではなく、ブースで名刺を受け取った瞬間から始まっています。
フォローは会期後の作業ではなくブースでの会話から始まる
「フォロー」というと、会期が終わってから送るお礼メールのことだと思われがちです。ですが、送るメールの中身は、ブースでどんな会話をしたかでほとんど決まります。
会期中に何を話したかを覚えていなければ、会期後にどれだけ良い文面を考えても、相手に届く前に薄い内容になってしまいます。フォローの質は、会期中にどれだけ拾えたかで決まると考えたほうが実態に近いです。
名刺を渡された時点で相手は何かを覚えている
名刺を渡した側は、ブースで交わした短い会話を、その時点ではまだ覚えています。何に困っていたか、何に興味を持って足を止めたか、その記憶は時間とともに薄れていきます。
だからこそ、フォローで最初にやることは「相手が忘れる前に、会話の続きを届けること」だといえます。
会期中にやっておくとあとが軽くなる3つ
会期の最中にひと手間かけておくと、あとの作業がぐっと軽くなります。
- 名刺を受け取ったその場で、話した内容を一言メモしておく
- 誰からもらった名刺かを、その日のうちに分けておく
- 会場やイベントが複数あるときは、名刺を混ぜずに管理する
この記事は実際に出展してみた記録つきです
私たち株式会社Rinは、2026年8月にAIエキスポへ出展しました。
この記事では、一般的な手順の解説だけでなく、実際に出展して何が起きたかの記録もあわせて載せています。お礼メールを何通送ったか、名刺は何名分受け取ったか、そこから何が生まれたか。測っていないものは測っていないと、そのまま書いています。
なお、展示会後のフォローと似た場面に「資料請求後のフォロー」があります。こちらはWebからの資料請求がきっかけになる場面で、展示会とは入口が違います。そちらの手順は資料請求後のフォロー手順7段階にまとめています。
展示会のお礼メールは約束と次の予定に合わせる

会場で資料の送付や面談の案内を約束した相手には、その約束を確認して連絡します。
「何時間以内なら成果が出る」という一律の基準ではなく、相手が検討する予定と、必要な情報がそろう時期を合わせます。
会場で約束したことから取りかかる
送付する資料、返答が必要な質問、次の面談などを優先して確認します。
社内での確認に時間がかかるときは、お礼と返答予定を先に伝えることもできます。
価格や納期が未確定なら、決まった内容と混ぜずに書きます。
次の接点が決まっていない相手を分ける
名刺交換だけで、具体的な依頼は受けていない場合もあります。
会話した内容に沿う情報を選び、いきなり長い提案や複数の依頼を送らないようにします。
相手の希望や連絡の可否を確認してから、継続した案内の対象にするかを決めます。
連絡予定を担当者だけの記憶にしない
送る人、送るもの、約束した日を一覧にします。
作業が残っている理由を記録しておけば、担当者が変わっても次の対応を確認できます。
送信済みと返信待ち、社内の回答待ちは別の状態として管理します。
展示会のお礼メールに書く6つの要素

展示会のお礼メールには、入れておくとよい要素が6つあります。
要素1 どこで会ったかを相手が思い出せる形で
展示会名だけでなく、ブースの場所や、話しかけたタイミングなど、相手が「ああ、あのときの」と思い出せる情報を添えます。展示会は複数の出展社と話した記憶が混ざりやすい場です。
要素2 話した内容を1行だけ
長々と会話を再現する必要はありません。何について話したかを1行で示すだけで、相手はその場の記憶を呼び戻せます。
要素3 名乗り(会社名と何をしている会社か)
名刺交換の場では聞き流されていることも多いので、会社名と事業内容を改めて1〜2文で伝えます。
要素4 その場で答えられなかったことの答え
ブースでの会話中に、その場で答えきれなかった質問があれば、メールで答えます。これは相手にとって「わざわざ調べて送ってくれた」という印象につながる要素です。
要素5 資料の案内
資料名と確認してほしい箇所を添えて案内します。URLか添付ファイルかは、相手の受け取り方と社内の共有ルールに合わせます。URLなら閲覧権限や期限を、添付なら形式と容量を確認します。
要素6 返信が必要かを明確にする
資料の共有だけなら「ご返信は不要です」と添える方法があります。回答や日程調整が必要な場合は、相手にお願いすることと期日を具体的に書きます。
展示会で受け取った名刺だけでなく、以前から接点はあるものの止まっている相手にメールを送る場面もあります。そちらの文面例は休眠顧客の掘り起こしメール例文にまとめています。
名刺で受け取った連絡先の扱いを確認する

名刺を受け取ったことと、相手が望む今後の連絡内容を分けて記録します。
会場で依頼された資料の送付、個別の商談調整、継続的な広告配信では、目的と運用が異なります。
広告宣伝メールの制度については、消費者庁の特定電子メール法の案内で原則・例外や必要な対応を確認できます。
名刺交換を、どのような宣伝でも自由に送れる同意として扱わないようにします。
判断に迷う配信は、連絡先を受け取った経緯と実際の文面を管理担当者に示して確認します。
相手の希望を共有の記録に反映する
連絡を止めてほしいという返答が来た場合は、送信先の管理にも反映します。
担当者が個別に覚えているだけでは、別の担当者から同じ連絡が届くことがあります。
会場で聞いた希望、配信の扱い、停止の連絡を、必要な範囲の担当者で確認できる形にします。
記録を外部のAIへ入力するときは、名刺の個人情報や会話した秘密情報をそのまま渡さないでください。
文面の型を考える場合は、業種や相談内容を一般化して準備できます。
展示会 名刺交換の場でやっておく3つ

名刺交換の場でひと手間かけておくと、あとのフォローがしやすくなります。
名刺の裏に話した内容を1語だけ書く
名刺の裏に、話した内容を表す言葉を1つだけ書いておきます。「価格」「導入時期」「他社比較」のような一言で十分です。会期後にまとめて見返したとき、この1語があるだけで思い出す速さが変わります。
誰が受け取ったかをその日のうちに分ける
複数人でブースに立つ場合、誰が受け取った名刺かをその日のうちに分けておきます。日をまたぐと、誰が話した相手かがあいまいになりやすいためです。
会場をまたいで名刺を混ぜない(弊社の失敗)
私たちは、AIエキスポと同じ時期に参加した別のイベント(UPPERS)の名刺を、分けずに一緒に扱ってしまいました。
その結果、受け取った名刺の総数は数えられても、どちらのイベントで何名分もらったのかを、あとから分けられなくなりました。この記事の後半で紹介する「名刺33名分」という数字にも、この失敗がそのまま反映されています。
展示会に出展して実際に何が起きたか(弊社の記録)

ここからは、私たちが実際にAIエキスポへ出展して、何をして、何が起きたかの記録です。
出したもの=2026年8月のAIエキスポ
私たちは2026年8月、東京国際フォーラムで開催されたAIエキスポに出展しました。
お礼メールは38通
会期から2日後、名刺交換した方へお礼メールを38通送りました。送信記録には、8月8日の午後1時台から3時台にかけて送った履歴が残っています。
名刺は33名分(ただし内訳を分けて数えていない)
会場で受け取った名刺は、33名分でした。
ただし、この33名分には、同じ時期に参加した別のイベント(UPPERS)で受け取った名刺も混ざっています。展示会だけで何名分もらったのかを、内訳として分けて数えていませんでした。この数字を「展示会だけの実績」として読むことはできません。
1通が届かなかった
38通のうち1通は、宛先のメールアドレスにMXレコードが設定されておらず、届きませんでした。翌日、アドレスを確認して修正したうえで再送しています。
メールのやり取りから商談が生まれた
お礼メールを送ったあと、返信をくださった方とのやり取りのなかから、商談につながったケースがいくつも出てきました。
現時点で商談は5件
2026年8月21日時点で、進行中の商談は5件です。
この5件がすべてお礼メールから生まれたのかどうかは、切り分けて記録していませんでした。お礼メールを38通送ったことと、商談が5件あることは、どちらも事実です。ただし、その間を「何件送れば何件の商談になる」という計算式にすることはできません。
協業に向けた話も動いている
商談とは別に、一緒に何かできないかという話に広がっているケースもあります。
相手先の名前や業種、金額や時期については、まだ何も決まっていないため、詳しくは書けません。決まったことがあれば、あらためて記事にしたいと考えています。
フォローの順番を相手の次の行動から決める

会期後は、名刺を並べるだけでなく、相手との約束ごとに作業を分けます。
以下は、対応の順番を決めるための例です。
役職が高いという理由だけで、具体的な依頼への返答を後回しにしないようにします。
| 会場で確認したこと | 次にすること | 記録に残すこと |
|---|---|---|
| 資料を送ると約束した | 該当資料と確認してほしい箇所を送る | 資料の版・送付日・返答待ち |
| 個別の質問を受けた | 回答を担当者に確認して返す | 質問・確認先・回答予定 |
| 面談を希望された | 目的を合わせて日程を調整する | 参加者・話すこと・日程 |
| 関心のあるテーマだけ分かった | そのテーマに合う情報を選ぶ | 会話の要点・連絡の希望 |
| 今後の連絡を望まれない | 停止を共有管理へ反映する | 停止の範囲・対応した日 |
同じ会社の複数人に重ねて連絡しない
複数の担当者が名刺を受け取った場合は、社内で連絡の担当を合わせます。
相手の窓口が複数ある場合も、誰が何を相談していたかを分けて残します。
同じ会社という理由で会話内容を一つにまとめず、窓口と論点を対応させます。
返答がない理由を推測で埋めない
メールが届いても、相手が確認したか、検討を始めたかは別の情報です。
次の連絡をするときは、以前の約束と検討予定を確認します。
返答がないことを関心がないと断定せず、同時に、相手が望まない連絡を重ねない運用にします。
出展後の費用と結果は別々に記録する

次回の出展を考えるために、小間料金、装飾、印刷、交通、宿泊、担当者の作業時間を分けて残します。
会場ごとの掲載料金を平均するより、自社が実際に何に費用を使ったかを確認します。
フォローに使った時間も含めると、次回の担当や準備量を考える材料になります。
商談の件数は、集計した期間と、何を商談と数えるかを決めて記録します。
名刺枚数、資料の送付数、返信数、面談数を同じ数字として扱わないようにします。
ほかのイベントや既存の取引から生まれた話は、分けて記録できる範囲で区別します。
件数だけでなく詰まった作業を見る
資料を探す時間が長かったのか、質問への社内回答が止まったのか、日程調整に時間がかかったのかを残します。
次回の改善は、その原因に合わせて選びます。
テンプレートを増やすことだけが解決策ではなく、事前の担当決めや資料の準備で対応できる場合もあります。
展示会 準備でフォローのために決めておく5つ

展示会の準備段階で決めておくと、会期後のフォローがスムーズになる項目が5つあります。
当日カウントする項目を先に決めておく
何を数えるかを会期前に決めておかないと、当日は目の前の対応に追われて数え忘れてしまいます。この記事の最後に、私たちが次に出展するときに数えようと決めた10項目を載せています。
名刺に書き込むルールを決めておく
名刺の裏に何を書くか、誰が書くかを、会期前にチームで決めておきます。当日にルールを決めようとすると、人によって書き方がばらばらになります。
資料をURLにしておく
会期後にお礼メールへ添えられるよう、資料をURLで見られる状態にしておきます。会期中の質問に答える資料としても、その場で見せられる形にしておくと便利です。
資料そのものの作り方は、提案資料の作り方7ステップを先に整理しておくと迷いません。
お礼メールの文面を会期前に作っておく
要素6つ(この記事の前半で紹介したもの)を踏まえた文面のたたき台を、会期前に作っておきます。会期後にゼロから考えるより、相手ごとに変える部分だけを埋める形にしておくほうが早く送れます。
送信先の分け方を先に決めておく
名刺を「すぐに連絡したい相手」「資料だけ送れば十分な相手」のように分ける基準を、会期前に決めておきます。会期後にまとめて判断しようとすると、記憶が薄れた状態で分けることになります。
展示会 集客とフォローは同じ設計でつながっている

展示会の集客とフォローは、別々の作業ではなく、同じ設計のなかでつながっています。
ブースで何を渡すかがそのままフォローの材料になる
ブースで配る資料や見せる内容は、そのまま会期後のフォローで使う材料になります。集客の場面で何を伝えるかを考えることは、フォローで何を送るかを考えることでもあります。
立ち止まってもらうことと覚えてもらうことは違う
ブースの前で足を止めてもらうことと、あとで思い出してもらうことは、別の話です。立ち止まった人の記憶に何を残せるかまで考えて設計しないと、フォローのメールを送っても反応が薄くなります。
体験してもらうとあとの会話が短くなる
その場で何かを体験してもらうと、会期後のメールで説明しなければならないことが減ります。体験したこと自体が記憶になるため、フォローの文面も短く済みます。
来た人が決める人とは限らない
ブースに来た人が、その会社の中で決裁できる立場とは限りません。決裁者が誰かを見きわめる考え方については、決裁者を見つける3つの聞き方という記事にまとめています。
来た人がそのまま決裁者だと思い込んで話を進めると、あとのフォローの相手を間違えることになります。
展示会のフォローで資料に語らせる

会期後に資料を共有する相手は、ブースで話した本人だけとは限りません。
社内の別の人にも説明できるよう、資料には対象、使い方、導入の条件、確認先をそろえます。
会話をしていない人にも伝わる資料にする
会場で口頭だけで伝えた条件がないかを確認します。
何のサービスか、どの課題に使うか、次に何を検討するかが、資料だけでも追えるようにします。
詳しい背景が必要な内容は、連絡先と一緒に補足します。
相手が受け取りやすい共有方法を選ぶ
URLで渡す場合は、閲覧できる範囲や期限を確認します。
相手の会社で外部リンクを開けないなどの条件があれば、別の渡し方を相談します。
共有方法そのものより、必要な人が必要な情報を確認できることを優先します。
質問できる場所を案内する
資料を質問に答えるAIチャットのURLにする方法として、株式会社Rinのきける資料があります。
現在の機能と料金を確認し、資料を渡した後の質問対応をどう設計するかの選択肢にできます。
AIが回答できる範囲と、人が確認する必要のある質問を分けておくことが大切です。
質問や閲覧に関する記録だけで、相手の理解度や購入意思を断定しないようにします。
分からない点が残った場合は、次の会話で何を確認するかの材料にします。
展示会のフォローでよくある質問

全員に同じお礼メールを送ってもよいですか
挨拶の型は共通にできますが、会場で話したことと次の案内は相手ごとに確認します。
約束した資料や質問への返答がある相手には、その内容を先に書きます。
連絡に使える時間が足りない場合はどうしますか
相手と約束した期日、回答が必要な質問、予定が決まっている面談から担当を決めます。
確認が終わらない場合は、返答予定を伝え、何を誰が待っているかを共有します。
展示会だけの成果を数えられません
集計範囲が混ざっている場合は、その点を明記します。
次回から、接点のイベント名、最初の接点日、商談に進んだ日を記録できるようにします。
切り分けていない件数を、展示会の効果として計算しないようにします。
展示会のフォローは「測る項目を先に決める」ことから(まとめ)

展示会のフォローをうまく回すために、いちばん効くのは、何を測るかを会期前に決めておくことだと今回の出展を通して感じました。
次に出展するときに記録する10項目
次回の記録項目としては、次の10項目が候補になります。接点の数は会場で、メールの送信日や返信までの日数は会期後に記録し、時期を分けて管理します。
- 出展にかかった費用(小間料金・装飾・印刷・交通・宿泊を分けて)
- 配ったチラシの実枚数(朝と夕方の残数を数える)
- ブースの前で立ち止まった人の数
- 話しかけた人の数
- 名刺を交換した人の数(イベントごとに分けて)
- その場で体験してもらった件数
- 体験を最後まで終えた件数
- その場で日程が決まった件数
- お礼メールを送った通数と、送った日
- 返信が来た件数と、返信までの日数
測っていないことは測っていないと書く
今回の出展では、出展費用の実支出、来場者数、体験の完了件数、お礼メールの返信件数などを、記録として残していませんでした。
測っていないものを、それらしい数字にして書くことはできます。ですが、それでは次に出展する自分たちの参考にもならないので、この記事では測ったものだけを書きました。
次に読む記事
この記事では、お礼メールの書き方から、名刺で受け取ったアドレスの扱い、自社の費用と対応順の整理、そして当時の出展記録までを一通りまとめました。記事の途中で紹介した関連記事とあわせて、会期前の準備から会期後のフォローまでの流れとして使っていただければと思います。
会期後の資料が相手の社内で語ってくれる仕組みは、この記事の前半で紹介したきける資料のページに詳しく載せています。値段や機能の詳細はページに載せているので、気になる方はそちらで確認していただければと思います。
著者:鶴田 洋(つるた ひろし)/Gallup認定ストレングスコーチ


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