メンター面談の質問例30と評価者とは別の立場で支援する進め方

メンター面談の質問を 相談の目的から選ぶのアイキャッチ

メンターを任されたけれど、何を話せばいいのか分からない。そう感じたことはありませんか。

ここで扱うメンターは、本人を査定する上司とは別の立場から相談に乗る先輩です。質問を選ぶ前に、話す範囲と記録・共有のルールを決めておくことが、面談の準備になります。

この記事では、メンター面談で使える質問例30と、聞かない方がいいことをまとめました。メンター自身が困ったときの逃がし方も紹介します。

もし次のメンター面談で何を話せばいいか迷っているなら、最後まで読んでいただく価値があると思います。

なお、部下との面談全般の質問例(人事面談・評価面談・期首面談を含む50問)は部下との面談の質問例50選と目的別の進め方にまとめています。この記事はそのうち「メンター」に絞って、評価者ではない立場から深掘りする位置づけです。

目次
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メンターは評価者ではない という前提の確認

メンター面談を始める前に、まず確認しておきたいことがあります。メンターは、上司のような評価者ではありません。

上司との面談は、目標の進み具合や成果を確認する場になります。一方でメンター面談は、斜めの関係(直属の上司ではない先輩社員)だからこそ話せることを扱う場です。

メンターは評価をする人ではなく、少し離れた場所から話を聞く人です。

最初に「ここでは査定を決めません。評価への不安も話せますが、正式な判断は担当の上司へ確認します」と役割を伝えます。役割を説明しただけで、何でも話してもらえるわけではありません。本人が話す内容を選べることも確認してください。

先輩社員が「ここは評価の場じゃないよ」と伝えるように、穏やかに笑いかけている情景

上司の面談と メンター面談の違い

上司とメンターの役割。上司は目標と評価を扱う、メンターは本人を支援する、話す範囲は本人が選ぶ

同じ「面談」でも、上司が行うものとメンターが行うものでは、役割が異なります。違いを表にまとめました。

上司との面談 メンター面談
立場 評価に関わる直属の上司 評価に関わらない斜めの関係
主な目的 目標の確認・評価の伝達 関係づくり・本音を聞くこと
話しにくいこと 評価につながる不安な話 本人が話す範囲を選ぶ

この違いがあるからこそ、メンター面談では上司には話しにくいことも話しやすくなります。本人がそのことを理解しているかどうかで、面談の深さが変わってきます。

初回から次回までの支援の進め方

初回から次回への支援。目的と共有範囲を確認する、望む支援を聞く、担当する行動を決める、次回に確かめる

質問集を使う前に、相談をどう扱うかを決めます。厚生労働省のメンター制度導入マニュアル(平成24年度委託事業、本文10ページ)では、守秘、問題が起きたときの相談窓口、原則として就業時間内に行うことを運用ルールに挙げています。次の表は、それを踏まえた本稿の進め方の例です。

時点 2人で確認すること 残すもの
面談前 今日は何を扱うか、終わりの時刻、共有のルール 今回の目的
話を聞く間 聞いてほしいのか、助言や紹介を求めているのか 本人が望む支援
終わる前 自分で試すことと、メンターが手伝うこと 誰が何をするか
次回 前回の支援が役立ったか、続けるか変えるか 次の選択

たとえば「部署外の仕事を知りたい」という相談なら、いきなり人を紹介せず、知りたい仕事内容を聞きます。本人が望むなら、紹介する相手と伝えてよい背景を確認してからつなぎます。紹介後も「話してみて何が分かったか」を確かめれば、単なる連絡先の受け渡しで終わりません。

一方で「今日は話すだけにしたい」と言われたら、紹介や宿題を増やさない選択もできます。支援が進んだかどうかを、紹介件数や行動の数だけで見ないことが大切です。

メンター面談の質問例30

質問を6つの場面に分けて紹介します。すべてを一度に聞く必要はなく、そのときの本人の様子に合わせて選んでください。

関係づくりの質問

  • 今日はどんな話題から始めたいですか
  • 職場の雰囲気には、少しずつ慣れてきましたか
  • 話しやすい先輩や同僚はできましたか
  • 休憩時間や昼休みは、どんなふうに過ごしていますか
  • 今、いちばん気になっていることは何ですか

仕事の進め方についての質問

  • 今の仕事の進め方で、やりづらいと感じる部分はありますか
  • 分からないことがあったとき、誰に聞けばいいか迷うことはありますか
  • 仕事の量やペースは、無理のない範囲に感じていますか
  • 会議やチャットのやり取りで、戸惑うことはありますか
  • 上司との1on1では、話せていないことがありますか

キャリアについての質問

  • 今の仕事を通じて、これからどうなっていきたいですか
  • 会社の中で、興味を持っている仕事や部署はありますか
  • 今のスキルの中で、もっと伸ばしたいと感じるものはありますか
  • 数年後の自分を想像したとき、どんな働き方をしていたいですか
  • 今のキャリアの方向性に、迷いはありますか

つまずきについての質問

  • 最近、うまくいかなかったと感じることはありますか
  • そのとき、どんな気持ちになりましたか
  • 同じような場面が来たら、次はどうしたいと思いますか
  • 誰かに助けてほしかったのに、言い出せなかったことはありますか
  • 今、抱えていることの中で、話しておきたいことはありますか

これからについての質問

  • 次の面談までに、試してみたいことはありますか
  • こちらに手伝ってほしいことはありますか
  • 会社やチームに、もっとこうなってほしいと思うことはありますか
  • 今日話したことの中で、いちばん心に残ったことは何ですか
  • 次はどんなことを話したいですか
ノートに質問リストのメモを取りながら、相手の話にうなずくメンター役の人物

支援と次回の確認を決める質問

  • 今日は話を聞くことと、選択肢を一緒に考えることのどちらが役立ちそうですか
  • この件で、私が手伝えるとよいことはありますか
  • 別の担当者へ確認するとしたら、誰に何を伝えたいですか
  • 今日の話で、記録や共有をしないでほしい部分はありますか
  • 次回は、何がどうなったかを一緒に確かめたいですか

支援の提案を受けるかどうかも本人が選びます。次回までの行動を決めず、話した内容を持ち帰るだけの回があっても構いません。

質問を使うときの3つの工夫

30の質問例をそのまま順番に聞いていくと、面談が尋問のようになってしまいます。使い方の工夫を3つ紹介します。

毎回すべて聞こうとしない

5つの場面のうち、その日の様子に合わせて1〜2場面だけ選びます。関係づくりの質問だけで終わる回があってもよく、無理に全部を消化する必要はありません。

相手の答えに沿って次の質問を選ぶ

用意した質問の順番にこだわらず、相手が話したことに関連する質問へつなげていきます。たとえば「うまくいかなかったこと」の話が出たら、そのまま「つまずきについての質問」へ移る、という形です。

答えを評価しない相槌を心がける

「それは良い考えですね」のような評価に近い相槌は、無意識のうちにメンターの立場を評価者に近づけてしまいます。「そう感じているんですね」のように、まず受け止める相槌を意識すると、評価者ではない立場を保ちやすくなります。

相手の話にただうなずき、メモを取りながら聞いているメンター役の横顔

聞いてはいけないこと

メンターだからこそ話しやすい面もある一方で、聞いてはいけないことがあります。

査定を代わりに決めること

評価への不安を本人が話すことはできます。ただしメンターが評価の妥当性を決めたり、昇給や異動を約束したりはしません。どの基準を確認したいのかを整理し、必要なら正式な担当者へ本人が尋ねる準備を手伝います。

他人の評判

同僚や上司についての評判や噂を聞き出すような質問はしません。本人の話を聞く場であって、他人の評価を集める場ではないためです。

プライベートの詮索

家庭の事情や交友関係など、仕事に直接関係のないプライベートな内容を深く聞くことは避けます。本人から自然に話が出た場合は受け止めて構いませんが、こちらから掘り下げて聞くことはしません。

メンター面談は、聞くことより「聞かないこと」を決めておく方が、話しやすい場になります。

手を軽く挙げて「そこは聞かないでおくね」と伝えるジェスチャーをするメンター役の人物

メンターが困る場面と その対処

メンター面談を重ねていくと、想定していなかった場面に出会うことがあります。ここでは、よくある4つの場面と、そのときの対処を紹介します。

困った表情で少し間を置きながらも、相手の話に耳を傾けようとしているメンター役の人物

場面1 相手が話さない

質問を投げても、短い返事しか返ってこない、あるいは沈黙が続くという場面があります。メンターとしては、次々に質問を重ねて場を埋めたくなりますが、質問を重ねるほど尋問のような空気になってしまうことがあります。

こういうときは、質問の数を減らし、間を長めに取ることを意識してみてください。「今日は話しにくい雰囲気なのかな」と、こちらの受け止めを一言添えるだけでも、相手が話しやすくなることがあります。

場面2 評価に関わる相談をされた

まず、説明を聞いてほしいのか、上司へ質問する準備をしたいのかを確認します。「何が評価されたのか分からない」なら、確かめたい点を一つに絞れます。メンターが査定を判断したり、本人に代わって無断で上司へ問い合わせたりしないようにします。

場面3 自分の経験が役に立たないと感じる

自分が経験してきた仕事の進め方と、相手が置かれている状況が大きく違っていて、アドバイスのしようがないと感じる場面もあります。経験が違うからこそ、メンターの役割は「答えを渡すこと」ではなく「一緒に考えること」に軸を置き直すとよいでしょう。

「自分だったらこうする、とは言い切れないけれど、一緒に整理してみようか」という声かけは、経験の差を埋める必要をなくしてくれます。

場面4 話がプライベートな内容に深入りしそうになる

本人が自分から家庭の事情や交友関係について話し始め、そのまま踏み込んで聞きたくなる場面もあります。本人から自然に出てきた話を受け止めること自体は問題ありませんが、そこから根掘り葉掘り聞き出すことは避けます。

「そうだったんだね」と受け止めたうえで、話の流れを仕事や本人の状態の話に戻していくと、無理なく境界線を保てます。

これらの場面に共通しているのは、メンターが「答えを持っていなければいけない」と思い込むほど苦しくなる、という点です。答えを持っていなくても、隣に座って一緒に考える姿勢そのものが、メンター面談の価値になります。

メンター自身が困ったときの逃がし方

メンター面談を進めていると、メンター自身が答えに困る場面も出てきます。そんなときの逃がし方を紹介します。

すぐに答えを出そうとしない

本人の悩みに対して、その場で解決策を出す必要はありません。「一緒に考えてみるね」と伝えて、次回までの宿題にするだけでも十分です。

相談先につなぐ前に共有範囲を決める

自分だけでは対応できない場合は、制度の相談窓口を使います。通常は、本人と目的・相手・伝える内容を確認したうえでつなぎます。メンター自身の進め方を相談するだけなら、本人が分かる詳しい情報を出さずに相談できるかも確かめてください。

話を聞くことに集中する

答えを与えることより、本人が自分の言葉で話せる時間を作ることの方が、メンター面談では大切です。答えを与えるのではなく、本人が自分の中にある答えに気づける時間になるよう、聞くことに集中してみてください。

メンター自身の負担を溜めない

メンター役を続けていると、自分の仕事とメンターの役割の両方を抱えて、負担が積み重なっていくことがあります。定期的に自分自身を振り返る時間を持ち、無理を感じたら早めに周囲へ相談することも、メンター面談を長く続けるために必要なことです。

1回の時間をあらかじめ決めておく

メンター面談は、終わりの時間を決めずに始めると、話が長引きやすくなります。30分程度を目安に、最初に「今日は30分くらいで」と本人に伝えておくと、メンター側も本人側も見通しを持って話せます。時間を決めておくことは、冷たい対応ではなく、次の面談まで続けるための工夫です。

共有のルールを2人で確認しておく

どの情報を記録するか、誰が読むか、相談が必要になったときはどうするかを、最初に本人と確認します。「心配だから」という理由だけで、面談内容をすべて上司へ渡す運用にしないでください。生命や安全に差し迫った危険がある場面は、会社の緊急対応の取り決めに沿って安全を優先します。

記録の残し方

制度上の記録は、会社が認めた保存先と共有範囲で残します。面談の日時、本人と合意した次の支援、次回の確認事項など、必要な項目に絞ります。本人が話した個人的な内容を詳しく残すことが、よい記録とは限りません。

書く前に「この点は次回のために残してよいですか」と確認する方法もあります。本人の言葉とメンターの解釈を混ぜず、合意できていないことを決定事項にしないでください。保管期間や削除の扱いも、会社のルールを確認します。

自分自身がメンター役として感じたことを振り返る場合は、本人の相談内容とは分けます。自分と話すノートを無料で始めることもできますが、面談の逐語録や第三者の秘密情報を入れず、「次は結論を急がずに聞きたい」など自分の動作を一般的な言葉で残す使い方です。

メンターが少し困った表情をしつつも、無理をせず上司や人事に相談している様子

メンター面談によくある質問

続けるための確認事項。頻度を合意する、担当者の役割を確認する、沈黙を急いで埋めない

メンター面談の頻度はどのくらいが目安ですか

会社の制度と本人の希望に合わせて合意します。たとえば月1回で始め、相談の必要性と双方の業務量を見て見直す形もあります。月1回がどの会社にも適切という意味ではありません。

メンターと上司 両方に同じことを話してもいいですか

構いません。むしろ同じ内容を違う相手に話すことで、本人の中で考えが整理されることもあります。

メンター面談で沈黙が続いたらどうしますか

無理に質問を重ねず、少し間を置いてみてください。沈黙のあとに、本音がぽつりと出てくることもあります。

メンターは誰が担当するのが向いていますか

直属の上司ではない、少し年次が上の先輩社員が担当することが多いようです。同じ部署でなくても構いません。むしろ部署が離れている方が、評価に関わらない安心感が生まれることもあります。

オンラインでメンター面談をするときに気をつけることはありますか

雑談の時間を意識して作ることをおすすめします。対面と違い、オンラインでは本題からすぐに始まりがちなので、最初の数分を関係づくりの質問に使うと話しやすくなります。

メンター面談を 斜めの関係だから話せる場にする

斜めの関係で支える。本人の言葉を聞く、望む支援を確認する、次回の確認につなげる

メンター面談は、評価という目的から離れた場所にあるからこそ、本人が安心して話せる時間になります。

聞くことのリストだけでなく、聞かない範囲を決めておくことが、この面談を機能させる鍵です。そしてメンター自身も、答えを1人で抱え込まず、周りに共有しながら進めていく面談です。

面談の前に自分の考えを整理しておきたい方は、「自分と話すノート」を使ってみてください。毎日ひとつの問いに答えるだけで、自分が何を大事にしているかが少しずつ見えてきます。

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