もし「自分が何を大事にしているのか、うまく言葉にできない」と感じているなら、最後まで読んでいただく価値があると思います。
この記事では、価値観カードの基本的な使い方と、無料で使える83語のリスト、市販4種類のゲームの遊び方、紙とペンだけでできる自作の方法をまとめました。読み終えるころには、今日から使える価値観カードの選び方と、一人でもチームでも試せる具体的な手順が手元に残るはずです。

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価値観カードとは|言葉を選んで、大切なものを絞り込む道具
価値観カードとは、書かれた言葉の中から自分にとって大切なものを選び、最後に数枚まで絞り込むためのカードです。
「思いつく」ではなく「捨てる」で決まる
価値観カードの核心は、思いつくことではありません。並んだ言葉を見て、いらないものを一枚ずつ捨てていく作業です。残った数枚が、そのときの自分が本当に大事にしているものになります。
一人でも、チームでも使える
一人で使えば、自分の価値観を静かに見つめ直す時間になります。複数人で使えば、お互いの価値観を知り合うゲームになります。
心理学の研究から生まれた道具である
価値観カードのもとをたどると、Personal Values Card Sortという、2001年にニューメキシコ大学で作られた研究用のツールに行き着きます。W.R. Millerたちが開発したこのカードは、いまも多くの市販カードの原型になっています。
診断テストとの違いは「自分で選ぶ」こと
診断テストは、質問に答えるとアルゴリズムが結果を出します。価値観カードは、言葉を見て自分の手で選び、自分の手で捨てます。決めるのは検査ではなく、自分自身です。
価値観カード 一覧|Rinの8軸208語をそのままカードにする

Rinでは、価値観を8つの軸・208語で公開しています。この208語は、そのまま印刷して価値観カードとして使えます。
8つの価値観軸(成長・学び/挑戦・達成/貢献・役立ち/人とのつながり/安定・安心/誠実・信頼/楽しさ・心地よさ/自由・柔軟性)
Rinの8つの価値観軸は、次のとおりです。
- 成長・学び
- 挑戦・達成
- 貢献・役立ち
- 人とのつながり
- 安定・安心
- 誠実・信頼
- 楽しさ・心地よさ
- 自由・柔軟性
軸ごとの代表的なことば
8軸には合計100語が割り当てられています。内訳は、成長・学び13語、挑戦・達成13語、貢献・役立ち13語、人とのつながり13語、安定・安心12語、誠実・信頼12語、楽しさ・心地よさ12語、自由・柔軟性12語です。
仕事・お金・人間関係・家族・暮らしの場面別68語
8軸の100語に加えて、場面別に68語が用意されています。内訳は、仕事とキャリア20語、お金12語、人間関係14語、家族10語、暮らしと健康12語です。残りの40語は、力と影響・創造と表現・秩序と規律・意志と継続という4つのテーマに分かれています。
一覧を「読む」だけでは決まらない理由
208語をただ眺めているだけでは、自分の価値観は決まりません。一覧は材料であって、選んで捨てる作業をして初めてカードとして機能します。価値観の一覧208語(8つの軸で並べたリスト)には、全語のリストを掲載しています。
価値観カードの元になった83語のリスト|パブリックドメインで誰でも使える
Personal Values Card Sort(University of New Mexico, 2001)とは
Personal Values Card Sortは、W.R. Miller、J. C’de Baca、D. B. Matthews、P.L. Wilbourneの4名が、ニューメキシコ大学で2001年に発表したカードです。1番のACCEPTANCEから83番のWORLD PEACEまで、通し番号がついた83枚のカードで構成されています。
3つの山に分けるだけという単純なルール
やり方はシンプルです。83枚のカードを、「NOT IMPORTANT TO ME」「IMPORTANT TO ME」「VERY IMPORTANT TO ME」の3つの山に分けていくだけです。
「その他の価値観」の空欄が用意されている意味
83枚の最後には、「Other Value:」という記入欄つきの空白カードが用意されています。83語に自分の言葉が見つからなくても、自分で書き足せる余地が最初から残されているということです。
自由に複製・改変して使える
このカードの利用条件には、次のように書かれています。
This instrument is in the public domain and may be copied adapted and used without permission.
パブリックドメインであり、許可なく複製・改変・利用できるということです。印刷して名刺サイズに切るだけで、そのまま自分だけのカードになります。
価値観 カードゲームの遊び方|市販の4種類を並べて比べる

市販の価値観カードには、いくつかの選択肢があります。ここでは4種類の遊び方を、公式サイトの情報だけで比べます。
Wevox values card(株式会社アトラエ)
Wevox values cardは、株式会社アトラエが提供するカードです。山札から1枚引き、自分の価値観から一番遠いカードを捨てるというルールを何ラウンドか繰り返し、最後まで残った5枚をみんなでオープンにして共有します。オンライン版も用意されています。カードの枚数や価格、参加人数、所要時間は、公式サイトに記載がありませんでした。
エンゲージメントカード(株式会社トリプルバリュー)
エンゲージメントカードは、株式会社トリプルバリューが提供しています。個人の価値観の共有、チームの価値観の創造、他者から見た自分を知る、1on1や採用面接での活用という4つの使い方が用意されているのが特徴です。
わがままカード(サイボウズチームワーク総研)
わがままカードは、サイボウズチームワーク総研が開発したカードです。価格は2,850円(税込)、3〜6人で20分ほど遊べます。手順は、5枚ずつ配り、積み札から1枚引いて一番遠いカードを捨て、次の人へ回すというものです。
カラバリューカード(株式会社ColorVariation)
カラバリューカードは、株式会社ColorVariationが提供するカードです。一人5枚配り、山から引いたカードで6番目にくる価値観のカードを捨てていきます。最後に残った5枚について、自分が選んだ理由を順に説明し合います。
4種類に共通しているルールは1つだけ
4種類とも、細かい進め方は違います。共通しているのは、手札の中から「一番遠いもの」を捨てるという一点だけです。
価値観ババ抜きのやり方|引いて、いらないものを捨てる

「価値観ババ抜き」と呼ばれる遊び方は、市販カードに共通する基本ルールをまとめたものです。
手札5枚+山札という基本の形
まず一人5枚ずつカードを配ります。残りは山札として中央に置きます。自分の番になったら、山札から1枚引きます。
「一番遠いもの」を捨てるのが核心
手元の6枚の中から、自分の価値観から一番遠いと感じる1枚を選び、表向きに捨てます。一番好きなものを選ぶのではなく、一番遠いものを手放す、という向きが重要です。
最後の5枚を見せ合うところまでが1セット
これを人数分、何ラウンドか繰り返します。最後に手元へ残った5枚を、参加者どうしで見せ合います。ここまでが1セットです。
捨てたカードのほうが、話が深まることがある
残った5枚だけでなく、途中で捨てたカードも話題にしてみてください。「なぜこれを手放したのか」という理由のほうが、選んだ理由より深く話せることがあります。
価値観共有ゲームをチームでやる|1on1・研修・採用面接での使い分け
エンゲージメントカードの公式サイトには、使い方が4つの場面に分けて紹介されています。
人数と所要時間の目安
| 使い方 | 人数 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 個人の価値観の共有 | 3〜6名 | 30〜40分 |
| チームの価値観の創造 | 3〜6名 | 30分 |
| 他者から見た自分を知る | 2〜5名 | 30〜60分 |
| 1on1や採用面接 | 2名 | 20分 |
1on1で使うときは2人・20分
上司と部下の1on1のような2人の場では、2名・20分という短い時間で使う設計になっています。
チームの価値観をつくる場面での使い方
チーム全体で使うときは、3〜6名・30分が目安です。
他者から見た自分を知る使い方
2〜5名・30〜60分の使い方では、自分では気づきにくい価値観を、周囲からのフィードバックで知る形になります。
やってはいけないこと=出た価値観を評価に使う
価値観カードで出た言葉は、人事評価の材料にしないでください。Rinの料金ページにも、次のように明記されています。
会社ごとにデータを分離(会社の管理者が見られるのは利用状況・強み・チーム集計のみ。ジャーナルや相談の中身は上司・管理者には非公開)
価値観は、評価するものではなく、理解し合うための材料です。
価値観ワークを一人でやる4ステップ|カードがなくてもできる

カードが手元になくても、紙とペンだけで同じことができます。
STEP1 208語から、気になる言葉を20語選ぶ
まずはRinの208語の一覧から、気になる言葉を20語選びます。この段階では、深く考えすぎなくてかまいません。
STEP2 20語を10語に減らす
20語の中から、10語まで減らします。ここで初めて「これは自分にとって本当に大事か」を考え始めます。
STEP3 10語を5語に減らす(ここが一番時間がかかる)
10語から5語へ減らす作業が、一番時間がかかります。似ている言葉どうしを比べて、どちらがより自分に近いかを考える必要があるからです。
STEP4 残った5語に、自分の言葉で説明をつける
最後に残った5語それぞれに、なぜその言葉を選んだのかを自分の言葉で説明します。説明をつけることで、ただのキーワードが、自分の価値観として言葉になります。
価値観の見つけ方3つの方法では、この4ステップとは別の見つけ方も紹介しています。
価値観チェックシートの作り方|紙1枚で回せる形にする

価値観ワークをやりっぱなしにしないための、紙1枚の記録シートです。
書く欄は4つだけ(選んだ5語/捨てて惜しかった語/その語が出た場面/明日やること)
書く欄は、選んだ5語・捨てて惜しかった語・その語が出た場面・明日やること、の4つだけです。欄を増やしすぎると、続かなくなります。
「捨てて惜しかった語」の欄が効く理由
最後まで残った5語だけでなく、惜しくも捨てた語も書いておきます。半年後に見返したとき、捨てた語のほうが今の自分に近づいていることがあるからです。
半年後に同じシートをもう一度書く
同じシートを、半年後にもう一度書いてみてください。選ぶ言葉が変わっていれば、それは自分が変わった証拠です。
チームで使うときは、シートを回収しない
チームで使う場合でも、シートは本人が持ち帰り、会社が回収しない形にしてください。価値観の記録は、本人だけのものとして扱います。
価値観カードは自作できる|無料で作る3つの方法
方法1 紙に手書きする(用意するのは名刺サイズの紙だけ)
用意するのは、名刺サイズに切った紙だけです。思いつく言葉を1枚に1語ずつ書けば、それだけでカードになります。
方法2 パブリックドメインの83語をそのまま使う
Personal Values Card Sortの83語は、パブリックドメインとして公開されています。「This instrument is in the public domain and may be copied adapted and used without permission.」という利用条件のとおり、そのまま印刷して使えます。
方法3 8軸208語から自分の語だけを抜き出す
Rinの208語一覧から、自分に合いそうな語だけを抜き出して印刷する方法もあります。
市販品を複製して配らない
自作していいのは、パブリックドメインのカードやRinの一覧など、複製が許可されているものだけです。市販カードの収録語を書き写して配ることはしないでください。
価値観カードを使うと何が変わるのか|決め方が速くなる
選ぶ基準が言葉になる
これまで感覚で決めていたことに、言葉で説明できる基準ができ、次に似た場面が来たときの決断が速くなります。
断るときに理由が言える
誘いや依頼を断るときも、「自分は〜を大事にしているので」という理由が言えるようになります。
人と違うことに理由がつく
自分と相手の価値観が違うとわかれば、意見の違いにも理由がつきます。厚生労働省の令和6年 雇用動向調査では、転職した人が前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」を挙げた割合が、男性9.0%、女性11.7%でした。価値観の違いを言葉にできていれば、こうしたすれ違いの一部は防げたかもしれません。
ただし「1回やって終わり」では変わらない
1回カードをやっただけで、すべてが変わるわけではありません。決め方が速くなるのは、選ぶ基準を繰り返し確認したときです。
仕事の価値観をカードで扱うとき|公的な検査という選択肢もある

仕事の価値観については、国が無料で提供している検査もあります。
厚生労働省 job tag の仕事価値観検査は無料で受けられる
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には、仕事価値観検査という自己診断ツールがあります。無料で受けられ、JILPTの資料シリーズNo.287「Web提供型の仕事価値観検査の開発」として開発の経緯が報告されています。
測っている11の要素
この検査が測っている要素は、達成感・自己成長・専門性・奉仕や社会貢献・自律性・私生活との両立・雇用や生活の安定性・良好な対人関係・労働安全衛生・報酬や収入・社会的認知や地位の11個です。11変数について各4項目、全44項目を5段階で答える形式になっています。
11要素は3つのまとまりに整理されている
11要素は、「職務重視」(達成感・自己成長・専門性・奉仕や社会貢献・自律性の5変数)、「働き方重視」(私生活との両立・雇用や生活の安定性・良好な対人関係・労働安全衛生の4変数)、「報酬・地位重視」(報酬や収入・社会的認知や地位の2変数)という3つに整理されています。調査では、働き方重視に関する変数が、ほかの2つより高めに出る傾向が見られました。
426職業とつながる仕組み
この検査は、就業者20名以上から評定値が得られている426職業のデータとつながり、クラスタ分析で7個のグループに分けたうえで、3つの合計得点をもとに14個の職業グループが作られています。
日本マンパワーの15項目という別の切り口
日本マンパワーは、「仕事を通じて大切にしたい価値観」として、プライベートの時間や安全・安心感、報酬、対人関係、社会貢献、自律など15項目を挙げています。2022年4月から2025年5月にかけて2,920名が検査を実施し、分析可能だった2,844名のうち、最も多く重視されたのは「プライベートの時間」と「安全・安心感」でした。仕事の価値観の一覧と見つけ方でも、仕事の価値観をどう見つけるかを扱っています。
価値観カードで出た言葉が、人によって違う意味になる理由
同じ「自由」でも、指しているものが違う
同じ「自由」というカードを選んでも、ある人は時間の自由を、ある人は発言の自由を指していることがあります。言葉だけでなく、その言葉を選んだ理由まで聞くと、違いが見えてきます。
8軸は円環モデルに対応している
Rinの8つの価値観軸は、Shalom H. Schwartzの基本的価値観理論に準拠しています。Schwartzは、10の基本的な価値が、それぞれの動機を反映した円環構造をなすとしています。
向かい合う軸は押し合う(合計は変わらない)
Rinの8軸には、成長・学びと安定・安心、自由・柔軟性と誠実・信頼、楽しさ・心地よさと人とのつながり、挑戦・達成と貢献・役立ちという、向かい合う4組があります。組ごとに合計が100に固定される設計なので、片方が上がれば、もう一方は自然と下がります。8軸の組み合わせでわかる価値観16タイプでは、この向かい合う関係から16のタイプを整理しています。
「全部が大事」は、まだ絞れていないだけ
「全部大事」と感じるのは自然なことです。それは間違いではなく、まだ絞り込みの途中だというだけです。
価値観カードのおすすめの選び方|3つの質問で決まる
質問1 一人で使うか、人と使うか
一人で静かに向き合いたいなら、パブリックドメインの83語かRinの208語で十分です。人と共有したいなら、市販の4種類のどれかが向きます。
質問2 お金をかけるか、無料で始めるか
無料で始めるなら、紙とペン、または83語や208語の印刷から始められます。形のあるカードが欲しいなら、わがままカードのように価格が明記されているものを選ぶと安心です。
質問3 その場で終わらせるか、続けるか
1回のイベントで終えるなら、市販カードでの1回勝負でも十分です。続けたいなら、チェックシートに残す仕組みを合わせて持ちます。
迷ったら、紙とペンから始めてよい
どれを選ぶか迷ったら、まずは紙とペンで自作する方法から始めてください。そこから、人と使いたくなったら市販カードへ、続けたくなったらチェックシートへと広げていけます。
価値観カードを使ったあと、続けるための仕組み
カードは「今日の断面」しか映さない
カードで選んだ5語は、あくまでその日の断面です。体調や状況によって、選ぶ言葉は変わります。
毎日の記録が貯まると、選ばなくても見えてくる
カードは「選ぶ」道具ですが、日々の言葉を書き貯めていく記録は「貯まる」道具です。書いた言葉が積み重なると、選ばなくても、大事にしているものが自然と見えてきます。
記録は本人だけのものにする
価値観の記録は、極めて個人的な情報です。本人だけが読めるものとして扱ってください。
二択12問で、いまの断面だけ先に見る
二択12問の価値観軸チェック(無料・登録不要)を使うと、カードがなくても、いまの価値観の断面だけを先に見ることができます。入力した内容はブラウザの中だけで処理され、どこにも送信されません。
価値観カードについてよくある質問
Q. 価値観カードとは何ですか?
書かれた言葉の中から大切なものを選び、最後に数枚まで絞り込むカードです。
Q. 価値観のカードは自作できますか?
できます。紙に手書きする方法、パブリックドメインの83語をそのまま使う方法、Rinの208語から抜き出す方法の3つがあります。
Q. 価値観カードのおすすめは?
一人で使うなら無料の83語か208語、人と共有するなら市販の4種類のいずれかがおすすめです。一人か複数人か、お金をかけるかどうか、続けたいかどうかで選んでください。
Q. 自分の価値観を知る方法はありますか?
価値観カードのほかに、二択12問のチェックや、日々の記録を書き貯めていく方法があります。
Q. 選んだ価値観は、あとから変わってもいいですか?
変わってかまいません。価値観カードは今日の断面を映すものなので、半年後に選び直すと違う言葉が残ることもあります。
価値観カードを、今日1枚めくるところから(まとめ)
価値観カードは、思いつくのではなく、捨てることで大事なものが残る道具です。無料で使える83語や208語のリストから、市販の4種類のゲーム、紙1枚のチェックシートまで、今日から試せる方法をまとめました。
まずは、二択12問の価値観軸チェックで、いまの断面だけを2分ほどで見てみてください。
チームで使うことを考えている方には、Rinの料金が1人あたり月額1,500円(税込)、初回30日間無料であることも、あわせてお伝えしておきます。


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